テロメアの時計

みなさんは、テロメアという言葉をご存じでしょうか。テロメアとは染色体の末端部にあり、染色体の末端を保護するための構造です。1930年代に細胞遺伝学の研究から発見され、DNAについて解明が進むにつれ、徐々に詳しいことがわかってきました。

テロメアは細胞が分裂するたびに短くなっていきます。そしてある程度短くなると細胞老化の状態になり、細胞はそれ以上、分裂ができなくなります。つまり、「細胞死」の状態になるのです。そのためテロメアを「分裂時計」と呼ぶこともあります。

高齢者の細胞では、一般的にテロメアが短くなっているといわれています。そのため細胞分裂が難しくなり、組織や臓器の機能が低下したり、コラーゲン生成能力が下がるためしわやたるみなど、老化につながる可能性があるとされているのです。また、がんや心血管疾患、糖尿病などが引き起こされる可能性も指摘されています。

ただし、テロメアの短縮には、私たちにとっていい働きもあるようです。細胞の寿命を制限・抑制するため、どうやらがんなどによる細胞の異常な増殖を止める役割も果たしているようなのです。テロメアについてはまだまだ研究途上ですが、老化のメカニズムになにかしら関係していることは確かなようです。

私たちは、いずれ老いて、死んでいく。その事実からは、誰も逃れられません。近年、人間は本来120歳くらいまで生きることができるはずだともいわれていますが、150歳まで生きられるようなテロメアはありません。ですから限られた時間をどう有意義に過ごすのか。80代になったら真剣に考えたほうがいいかもしれません。

「ピンピンコロリ」は理想ではない

また、多くの人は「ピンピンコロリ」が理想だと言いますが、私はそうは思いません。日本人の死因の第1位はがん、次に多いのが心疾患で、以下、老衰、脳血管疾患、肺炎と続きます。心疾患や脳血管疾患の場合、突然、命がなくなることもあるでしょう。

【図表1】性別にみた死因順位別死亡数・死亡率(人口10万対)
出所=厚生労働省

本人は楽かもしれませんが、それではまわりの人に「さよなら」をいうことができませんし、まわりの人にも悔いが残る可能性があります。がんの専門医は、よく「がんで死ぬのが一番いい」といいます。家族や知人にさよならをいい、ありがとうと伝える時間的余裕があるからです。

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最後の数年、認知症を患う人もいるでしょう。認知症は、まわりは大変ですが、本人はいろいろなことを忘れられるから意外とハッピーだともいわれています。

また、老衰は痛みや苦しみを感じなくなるため、いわゆる大往生を遂げることができ、まわりの人も満足感が残るようです。さて、あなたはどんな最期が理想でしょうか。

私の夫はレビー小体型認知症でしたが、4年半、老人病院で穏やかに過ごしました。私としては最初はなかなか病気を受け入れられませんでしたが、徐々に受け入れられるようになり、4年半、よい思い出を残してくれました。今となっては、突然の別れではなかったことをありがたく思っています。

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