「管理監督者」を見抜く3つの判断基準
管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者を指し、役職名にとらわれず、労働の実態により判断されます。会社内で、管理職とされていたとしても、管理監督者に該当するとは限りません。
労働基準法上の管理監督者とは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」とされています(昭和63年3月14日基発150号)。裁判例では、主に以下の3点により判断されています。
① 経営者と一体的な立場にあるといえるだけの職務や権限がある
少なくとも担当する事業部門について統括的な立場にあることや、部下の査定などの一定の人事権を有していること
② 出社、退社、勤務時間について自主的に決定できる
遅刻・早退の場合にも賃金カットされず、勤務時間に裁量があること
③ その地位と権限に相応しい賃金・手当等が支給されている
残業代相当額を含む基本給の増額や、役職手当などの支給を受けていること
実際は上記の3点すべてを満たす場合は少なく、“管理監督者”にあたらないとして、会社に残業代の支払が命じられることはよくあります。
スポーツクラブ支店長の残業代請求が認められた例
コナミスポーツクラブ事件(東京高裁平成30年11月22日)では、スポーツクラブの支店長(降格後はマネージャー)であった従業員が、管理監督者に該当しないとして、残業代の支払を請求した事案です。裁判所は、上記3点について、以下の通り判断し、管理監督者該当性を否定し、会社に残業代の支払を命じました。
① 経営者と一体的な立場にあるといえるだけの職務や権限がある:否定
プログラムの変更・新規導入、販売促進活動、設備の修繕等、備品の購入には、運営事業部の上長の承認が必要
② 出社、退社、勤務時間について自主的に決定できる:否定
各月の労働時間が一定の時間数に収まるよう、勤務計画の作成が義務づけられるなど、労働時間が管理されていた
③ その地位と権限に相応しい賃金・手当等が支給されている:否定
非管理職の最上級の基本給との差はわずかであり、それを下回る可能性もあった
賃金の消滅時効に留意
管理監督者に該当しない可能性がある場合には、本来支払われるべき残業代を会社に請求することを検討しましょう。その場合、賃金の消滅時効に留意する必要があります。
2020年3月31日までに発生した残業代請求権についての消滅時効期間は、賃金支払日から2年間でしたが、2020年4月1日以降に発生した残業代請求権についての消滅時効期間は、賃金支払日から3年間です(将来的には5年となる見通しです)。


