【俣野】中司さんの「書く」というメソッドで提唱しているのは、まさにその点。予定と記録の見比べ。その見比べをやるだけでも、今言ったことに橋を渡せると思うんですね。パターンを認識する。頭の中で「ふう~、1日終わった」じゃなくて、「いや、ちょっと待てよ。今日この時間の使い方は支配されたな」みたいなね。「これを食い止めるためにこういうことをやっておけばよかったんだな」というように自己問答してみる、客観視してみる。

【中司】時間の使い方で僕が伝えたいのは、自分を成長させる時間、勉強する時間を持つ。1日の時間の内、一定時間を勉強の時間としてあらかじめ確保しておこうという考え方。

【俣野】『プロフェッショナルサラリーマン』に書いたのはまさにそうなんですね。「残った時間で自己投資」じゃないよと。最初に自己投資分を取っておく。未来を変えるための時間をつくるなら、最初に予定に組み込まないとダメなんです。10%の予定を最初に入れる。勉強、セミナー、本を読む。余った時間でやろうと思っても、まず余らない。

時間に余裕がない人は、厳しい言い方をすると、時間について考えが足りていない。時間について自分が考えていかないと、他人が考えることになります。他人が考えたらどうなるかというと、時間を支配されるんですよね。「あいつ空いているから、これやれ」とか。だけど支配していたら、ちゃんと自分がやることがあるので、依頼を敢えて断ったり、別の日に回すように相談こともできるようになります。

俣野成敏(またの・なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社に入社。安息の日々もつかの間、社の赤字転落によって30歳でリストラ候補になり、転職、起業の余地がないダメ社員に未来はないと一念発起。役職経験・小売経験・有力人脈を一切欠いたまま、メーカー直販在庫処分店を社内起業。老舗メーカーの古い価値観を逆風に受けながら、30代の内に年商14億企業に育てあげる。その功績が認められ、33歳でグループ130社の現役最年少の役員に昇進し、さらに40歳で本社償還、史上最年少の上級顧問に就任する。この体験を元に執筆した著書『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)はシリーズ累計11万部のベストセラーに。2012 年、独立。複数の事業経営の傍ら、私塾『プロ研』を創設してプロフェッショナルサラリーマンの育成に力を注いでいる。
※俣野成敏オフィシャルサイト http://www.matano.asia/

中司祉岐(なかづか・よしき)
株式会社日報ステーション代表取締役。経営日報の“赤ペン指導”で売り上げを倍増させる日報コンサルタント。クライアントからは、FC、特定ブランドで売り上げ日本一を多数輩出している。高校卒業後、零細飲食店に入社。集客を担当し来店者数10倍、客単価2倍を実現。その後、勤務した大手アパレルチェーンでは、販売員として全国トップテンに入る業績を上げる。その営業・販売の実績を買われ、零細企業の創業、事業立て直し支援事業に従事。そこで中小零細企業こそ少しの工夫で成果が出せると気づき、株式会社ビジフォーム(現・株式会社日報ステーション)を設立。著書に『A4 1枚で「いま、やるべきこと」に気づく なかづか日報』(経済界)、『小さなひらめきが成果に変わる A4マイ日報で「勝ちパターン」仕事術』(幻冬舎ルネッサンス)がある。
※日報ステーション http://nippo-st.com/
(撮影=よねくらりょう)
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