「バランスシート」の差し引きで家計をチェック

まずは、自分たちの資産状況を把握することです。大変面倒くさい作業ですが、ぜひ冒頭の図表2のようなバランスシートを作成いただきたいのです。文字通り、財産のバランス(偏り)が一目でわかりますから、将来のリスクや家計の強みを想像しやすくなります。ネット上でExcelのテンプレートを検索したり生成AIを使うまでもありません。図表2のような簡易なものを手書きで充分です。

記入する金額は資産・負債欄ともにそのときの時価や残高を記入するのが正攻法ですが、わかる範囲で、特に資産内の「住宅」欄は住宅ローン残高を書くかたちでも役にたちます。バランスシートは、家計の健康チェックのようなものです。プラスとマイナス両面を見ることで、差し引きの家計の体力が見えてきます。

次に活用できるのが「50・30・20ルール」です。生活費、自由支出、将来のためのお金のバランスを確認する、シンプルで実践しやすい家計管理の目安です。

家計管理は一生涯必要なスキルですが、筆者はこれまでの職務経験の中で、家計管理を安心して継続していくためには、多くの場合、納得感と支出バランス、ご自身でトラッキングできることが欠かせないと実感しています。そのため、お一人お一人が人生を楽しみながら、じっくりとお金の安心感を育んでいくために、「50・30・20ルール」は重要な目安だと考えています。

電卓で計算をする人
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

「お金の使い道」を把握しておく

「50・30・20ルール」で推奨される割合は以下のとおりです。

・生活に必要な支出(Needs) 50%
・ゆとりや自由支出(Wants) 30%
・貯蓄やつみたて、繰り上げ返済など将来のためのお金(Savings goals) 20%

繰り上げ返済も、この「20%」の枠組みの中に位置づけるものです。Aさんファミリーの手取り年収は1056万円ですから、年211万円が目安となります。目安となる金額がわかったら、次はその金額の使い道を考えてみてください。もし使い道が明確にわかっていない状態なら、家計の全体像がまだまだ見えていないフラグかもしれません。安易に繰り上げ返済を決断するのはやめておきましょう。

そして最後が、長い時間軸で家計をとらえるステップです。人生で必要なお金はざっくりと、日々使うお金とあるタイミングでまとめて支払うお金にわけられます。一度にまとめてお金を支払うためには、事前の準備が必要です。準備の目的として、例えば以下のようなものがあります。

老後資金、教育費(進学・受験・留学)、住宅の修繕維持費、自動車関連費、家具家電費、医療介護費、緊急生活資金

まずは、これから先どんなことにお金が必要で、どこまで準備できているかを整理します。ご自身にとっての優先順位も確認していきます。難しい作業でわからない部分も多いかと思いますが、まずは金額抜きで項目だけ書き出すだけでも大きな第一歩です。