ブルーライトの正体と付き合い方

さらに考えておく必要があるのは、実験に使われたデバイスのことです。この実験は、スマートフォンではなく、それより大きなiPadで行われました。これはなぜでしょうか。スマホのほうが小さくて軽く、寝床に持ち込む人も多いことは容易に想像できます。おそらくはiPadでこのくらいなので、小さなスマホではもっと影響が少ないと考えられます。

この実験結果をもって、「睡眠を悪くするブルーライトを発するため、寝る前のスマホは厳禁!」というのは、実験内容を正確に理解していないのだと思います。

内山真『やってはいけない睡眠の習慣』(SB新書)
内山真『やってはいけない睡眠の習慣』(SB新書)

むしろ、実験結果を引用したうえで、これほど長時間・長期間、特別な環境でブルーライトを見続ければ睡眠に影響を与えるが、通常の使用で睡眠に大きな影響を与えるという結果が出ているわけではないと指摘するのが正しいように思います。

寝る前のスマホ利用も大人の常識の範囲内であれば問題ないといえそうです。睡眠以外でも顕著ですが、最新技術はいつも悪役にされがちです。センセーショナルなニュースでも、本来はどのような結論が出たのかを知っておきたいと思います。

また、睡眠に悪影響を与えるものとして、スマホと並んでテレビが槍玉にあがります。テレビも確かにブルーライトを出してはいるのですが、大きな影響を与えるほどではありません。テレビの光は2メートルくらい離れると200ルクス程度です。

リビングの照明も暖色系にする必要はない

何を根拠にそういわれているのかわからないのですが、想像するに、テレビが悪いといっておけば、テレビをよく観ている皆がなんとなく「自分の不眠は、よく観るテレビが悪かったのか」と納得するうえ、その主張に誰かが目くじらを立てるわけでもないからだと思います。

私たちが白いと感じる光、たとえば太陽光や蛍光灯、LED、パソコン、テレビもそうですが、これらにはブルーライトが一定量含まれています。

一方、赤いと感じる光、赤色LEDや暗室用の赤いライトはブルーライトを含みません。

赤いと感じる夕日も、ブルーライトは含むものの、昼間の白い日光よりは少ない。このことから、「夕方以降は、リビングの照明は赤っぽい暖色系にしよう」というアドバイスがなされるのだと思います。リビングの照明を暖色系に変えると雰囲気も変わって、確かに好きな人にとっては心地よいものと思います。

リモコンで照明の調整をしている手元
写真=iStock.com/Henadzi Pechan
※写真はイメージです

しかし、そもそも家庭用の照明は200ルクス程度ですから、寒色系のままでも、睡眠に大きな影響を与えることはないでしょう。個人の好みや心地よさを重視するのがいいと思います。

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