日本は「無視できる相手」ではなくなる

今回の改定に、中国は強い反発を示している。対日姿勢の変更を余儀なくされるからだ。1月6日、中国外交部の毛寧報道官は定例会見で「日本の再軍備を加速させる危険な動きを反映しており、必然的に地域の平和と安定を損なう。国際社会は高度の警戒をすべきだ」と述べた。

新たな安全保障体制(以下、新体制)は、日中関係にどのような影響を与えるのか。ここでは中国側の視点から分析してみたい。

これまで中国は、日本を台湾有事に直接影響を与える主体とは必ずしも見なしてこなかった。日本は「専守防衛」の立場にあるため、主として米国を後方から支援する役割にとどまり、自ら前面に立って作戦を主導する国ではないという認識があった。

沖縄の在日米軍基地についても、中国にとっては米軍の出撃や展開を支える拠点という意味合いが強く、日本が独自の判断で運用するものではないと受け止められてきた。

しかし、新体制が実際に動き始めれば、日本は南西諸島を含む地域で、警戒や監視、防空、部隊の展開といった活動を、はっきりとしたルールに基づいて行うようになる。南西諸島は台湾や南シナ海、さらには太平洋へとつながる重要な海と空のルートに近く、戦略上きわめて重要な場所だ。

こうなると、中国は日本を無視して戦略を考えることができなくなる。日本がこれまでのように米国を支えるだけの存在ではなく、地域の安全保障に直接影響を与える存在へと変わるからだ。

その結果、中国は自国の軍事や外交の方針を決める際、日本がどこまで行動するのか、どのように判断するのかを前提に考える必要性が生じてくる。

外交と軍事の両面から探りを入れる

改定の直後には、中国が外交・軍事・経済・情報の各分野で圧力を強めるだろう。その目的は、日本の新体制が実際にどこまで機能するのかを測ると同時に、本格的な始動を牽制することにある。

まず外交面では、首脳会談や外相会談、防衛当局間の協議、多国間会議などの場を通じて、日本の政策意図について具体的な説明を求めてくるだろう。中国がそこで探りたいのは、反撃能力をどのような条件で行使するのか、集団的自衛権とどう整合性をとるのか、南西諸島でどの程度の部隊展開を想定しているのか、といった点だ。

並行して、軍事面では東シナ海や南西諸島周辺で艦船・航空機の展開を活発化させると考えられる。空母や揚陸艦(上陸作戦に使われる艦艇)の一時的な展開、弾道ミサイルや巡航ミサイルを使った演習、尖閣諸島周辺での海警局の活動拡大などが想定される。

これらは威嚇そのものが目的というより、日本がどの水準で反応し、どの段階でエスカレーションを避けようとするかを観察する意味合いが強い。外交で言葉によって探り、軍事で実際の反応を測る――両者は一体の動きといえるだろう。