特別な道具も、ジムに通う必要もない

人間の筋肉は、40歳を過ぎると毎年約1%ずつ減っていくといわれています。何もしなければ、80歳になるころには、若いときの6割ほどの筋力で体を支えなければなりません。その結果、転びやすくなり、大ケガに至ることすらあります。

しかし、歩けば、この筋力低下を防ぐことができる。そのうえ、足腰の筋肉を使うだけでなく、心臓や血管、さらには脳にもよい刺激を与える。つまり、「歩く」という行為は、頭と体双方にプラスになるアウトプット健康法なのです。

しかも、特別な道具も、ジムに通う必要もありません。ただ外に出て歩くだけ。しかも、この「ただ歩く」が脳全体に大きな刺激を与えてくれるのです。

室内に閉じこもっていると、目に入る景色も音も、ほとんど変わりません。

ところが一歩外に出ると、あとは“想定外”の連続です。

道端に季節の花が咲いている。昨日までつぼみだった桜が、今日はほころんでいる。名前も知らなかった草花が、風に揺れている。花をめでるという行為は、ただ単に視覚から満足を得るだけではありません。「きれいだな」と感じる感性そのものが、脳を刺激しているのです。

前頭葉がフル回転する知らない世界との出会い

さらに、犬の散歩中の人と出会うこともあるでしょう。人なつこい犬が近づいてきて、思いがけず会話が始まります。

「かわいいですね。何歳ですか?」
「たぶん、3歳くらいです。この子、保護犬なんです」

こうした偶然のやりとりも、まさに想定外です。どう応じるか、何を話すか、その瞬間に前頭葉がフル回転します。

ウォーキングは単なる有酸素運動ではありません。こうした知らない世界との出会いそのものが、最高のアウトプット健康法となるのです。

年配の女性とペットの犬
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

もうひとつ重要な利点が、歩きながら日光を浴びること。

太陽の光を浴びると、体内でビタミンDが生成されます。ビタミンDは骨を強くするだけでなく、免疫機能を高め、感染症予防にも効果ありです。近年では、うつ症状の改善や認知機能の向上とも関連があることが指摘されています。