「個性の尊重」とは「全員優勝」のこと
特にこの10年間で12ポイント以上も上昇した「個性の尊重」について、ぜひとも注目してほしい。
実際、先輩世代にあたる読者の皆さんも「個性を活かした仕事がしたい」と若者たちが言っていると聞いたことがあるだろう。新卒採用担当の人事部職員にとっては、耳タコなのではないかというレベルだ。
先輩世代の多くはこの言葉を、こう解釈するかもしれない。
「なるほど、今の若者はお互いの個を尊重することで、しっかりと自分を差別化したいんだな」「個を尊重することで、唯一無二の存在になりたいってことか」いいえ、残念ながら違います。それは痛い誤解です。
もちろんそのように考える若者だってたくさんいる。それは間違いない。ただし、それは少数派だ。大方の若者にとっての「個性の尊重」とは、「一切否定も批判もしない」ということだ。彼らなりの言葉を使うとこんな感じになる。
「いつだってありのままの自分でOK」
「今日も自分なりにがんばってる」
「みんなみんな、偉い、尊い」
おわかりだろうか。まさに「全員優勝」世代の発想が集約されている。
今の多くの若者にとって「個性の尊重」とは、「違いを意識して自分を伸ばす」のではなく、とにかくみんな勝ち、ということなのだ。
「活気がある職場」は求めない
もう一つ、注目すべき点が「活気がある」の大幅下落だ。これは驚いた人も多いだろう。活気こそ若者の特徴とも言えるだろうに、1ポイント近くも下がるとは何事か。
その理解のヒントをくれるのが、「理想の上司像」の調査結果だ。多くの調査機関が類似の調査を実施しているが、ここではそのうち3つを取り上げよう。
1つ目は、先にも示した株式会社リクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査2025」だ(図表2)。図表1と同じように、1年前からの変化が実に興味深い。
さっそく結果を見てみると、上司に期待することとして、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が人気急上昇となっている。この「丁寧に教えてくれる上司が一番」という路線は、今後もたくさん出てくるので、ご覚悟を。
逆に、「仕事に情熱を持って取り組むこと」「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は大きく下落している。このうち、特に「仕事に情熱を持って取り組むこと」は、先の「活気がある職場」に通ずるところがある。
若者たちから見れば、「情熱を持った上司がいる職場」=「活気がある職場」ということになる。「情熱」も「活気」も、まとめてしまえば同じ「がんばる族」に分類されるというわけだ。
そしてその「がんばる」こと自体が、若者たちには忌避される傾向にあるのだ。だからこそ、図表2にある通り、「厳しい指導」はもちろんのこと、「周囲を引っ張るリーダーシップ」すら人気下落の対象となる。


