それでも運動は必要
しかし、大気汚染があるといっても、やっぱり運動はやめないほうがよいというのが現在の医学的な結論です。2025年の大規模研究では、空気汚染下でも身体活動をしている人は、運動しない人より全死亡リスクが26%低いと示されました。清潔な空気下での身体活動では31%低下ですから、利益は少し目減りするものの、動く側のほうが有利であることに変わりはありません。
つまり運動をやるか、やめるかではありません。どういう空気の日に、どの強度で、どこで動くか。答えは運動の中止ではなく再設計です。大都市の空気問題とは、毎日払っている見えない健康コストだと言えるでしょう。天気を確認するように空気を確認する習慣を持つ。PM2.5が低い日は外へ積極的に出る。25を超えたら負荷を落とす。35前後なら屋内に切り替える。道路沿いでなく、公園や緑道を選ぶ。こうした選択肢に役立つ情報は、スマートフォンのアプリや自治体のリアルタイムデータで、誰でも無料で確認できます。そんな小さな工夫の積み重ねが、肺だけでなく、脳の働きや気分、そして将来の健康まで守ってくれるのではないでしょうか。
出典
Sports Medicine - Open. Physical Activity, Air Pollution, and Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis.
東京都大気情報「大気環境測定結果について」

