「思わぬボーナス」でウクライナに攻勢
2025年、ロシアのウクライナ戦費は、11兆ルーブル(約22兆円)に達したとみられる。KSEインスティテュートの推計値で試算すると、ロシアはイラン戦争の恩恵で、昨年1年間の戦費の3分の1近くの収入をすでに手に入れたことになる。
今年3月、報道によると、ロシアはドローンやミサイルでのウクライナ攻撃を激化させた。イラン戦争をきっかけに、歳入が増えたことも影響したとの指摘もあるようだ。
米国が、原油価格の高騰を防ぐ一時的な措置として、ロシア産原油への制裁の緩和を認めたこともプラスに働いた。現在、韓国やタイなども、ロシア産のエネルギー資源や石油関連製品の輸入を真剣に検討しているようだ。
イラン戦争は、ほかにもロシアに利得をもたらした。ロシアは、アンモニアや尿素の輸出でも世界的にシェアは高い。アンモニアは23%、尿素は14%のシェアを持つとみられる。アンモニアや尿素を原料とする肥料でも、ロシアは世界の20%のシェアを持つ。イラン戦争の発生を機に、肥料も世界的に不足が深刻化した。ロシアにとっては、まさに“棚からぼた餅”だろう。
「プーチンの時代」はまだまだ続く
ロシアの輸出はホルムズ海峡に依存していない。国内の生産能力の問題はあるだろうが、理論的に世界的に需給が逼迫し、価格が上昇した品目の需要がロシアに向かう可能性は高まった。
石油の輸出増加などは、ロシアの歳入増加を支え戦費継続のみならず、プーチン政権の政策運営を支える。プーチン大統領が経済対策で国内の景気下支えし、支持率が回復することも想定される。イラン戦争は、ロシアの歳入増加などを通して、プーチン大統領の権力基盤の強化に繋がる可能性は高い。
現在、ロシアは近隣諸国との関係修復、対外圧力の拡大に動きつつある。4月、ロシアはハンガリー、トルコ、セルビアと、トルコストリーム・ガスパイプラインの管理体制を強化することで合意した。スロバキアのフィツォ首相は、EUのロシア政策を批判し、ロシアとの関係修復を求めた。

