過酷な経済制裁を乗り越えられたワケ
ウクライナ戦争が発生してから、早くも約4年が経過した。戦争の発生以降、ロシアの経済は厳しいながら、何とか持ちこたえてきた。ロシアに対する、米欧諸国による国際金融、経済制裁の影響は大きかった。
一時、ロシアはドル資金の流出に直面し、経済の混乱が深刻化する懸念が高まった。戦費の増大、海外企業のロシア脱出、さらには情報統制の強化で、プーチン大統領の支持率も一時、低下したようだ。それでも、ロシアが自力で経済を維持してきた。
その支えになったのは、中国、インド、トルコやブラジル、アフリカ諸国などによるロシア産石油の輸入継続だった。欧州と北米以外の地域に向けた、ロシアの石油輸出は増えた。こうして何とか、経済制裁を切り抜けてきた。
ロシア産原油の高騰で輸出が13兆円増
そこにイラン戦争が起きた。最も大きな戦争の影響は、中東地域からのエネルギー資源の供給不全化だ。イランはペルシャ湾岸の関連施設を攻撃し、重大な打撃を与えた。また、世界の石油・ガス輸送の2割が通過する、大動脈であるホルムズ海峡を実質的に封鎖した。
原油の供給は減少し、ロシア産原油への需要は増えた。米国などの制裁も緩和され、ロシアは輸出を行いやすくなった。しかも、原油の価格は上昇した。ロシアにとって、大きな福音だ。
2月下旬、ロシアのレニングラード州のプリモルスクから輸出される、ウラル産原油の価格は40ドル/バレル台だった。それが、4月上旬の価格には、112ドル台にまで上昇したようだ。13年ぶりの高値といわれている。
原油価格上昇などがロシアに与える影響の試算として、KSEインスティテュート(キーウ・スクール・オブ・エコノミクス傘下の研究所)の分析がある。イラン戦争が6週間続いた場合、通年ベースでロシアの輸出は840億ドル(1ドル=159円で約13.4兆円)増だという。歳入は450億ドル(約7.2兆円)増と推計された。

