<中国はイラン戦争に直接介入せず、停戦を訴え続けているが:ゴードン・G・チャン>
チェスのポーンに描かれたアメリカ、中国、イランの国旗
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中国の国家発展改革委員会は3月30日、ガソリンおよびディーゼルの最高小売価格を引き上げると発表した。

中国では価格は通常10日ごとに調整される。今回の価格引き上げ幅は過去最大のものとなったが、同委員会が定める算定式に基づけば本来の引き上げ幅の約半分にとどまっている。

中国政府は、ホルムズ海峡の一部閉鎖に伴うエネルギー価格の急騰の影響を和らげようと必死だ。3月29日夜には、中国ではガソリン車の所有者が大幅な値上げを見越して長い列を作るなど、すでに影響が出始めている。

中国は世界最大の原油輸入国であり、原油の約45%をこの重要な海上の要衝を通じて手に入れている。

3月初め、国家発展改革委員会は石油などの精製業者に対し、新たな燃料輸出契約を締結しないよう命じた。また、既に約束済みの海外向け出荷についても、可能な限り取り消すよう指示した。

中国が「悪いインフレ」に蝕まれる?

一見すると、中国は緊急措置に頼る必要はないように見える。第一に、エネルギー供給源の多様化を継続してきた結果、ホルムズ海峡を経由するエネルギーは全体の6.6%にすぎない。

さらに、中国は長年にわたりイランを支援してきたことから、中国向けの石油タンカーは戦争開始以降も同海峡の通過を認められている。これは東アジアの他国と比べて中国経済に大きなアドバンテージを与えている。

加えて、中国は備蓄量を公表していないものの、中国の戦略石油備蓄は9億~12億バレルと世界最大とみられている。もし中国の石油備蓄量が12億バレルなら、約140日分の輸入を賄うことができる。現時点では、多くの人々が紛争はその期間内に終結すると見ている。

こうした恵まれた状況にもかかわらず、シティグループとゴールドマン・サックスは、今月のエネルギー価格の急騰が、中国の長年にわたる懸念材料であるデフレを一夜にしてインフレへ転じさせる可能性があると考えている。

中国の物価について懸念される理由は多い。先月、生産者物価指数(工場出荷価格を測る指標)は41か月連続でマイナスとなった。中国政府は最近、消費者物価指数がプラスであると報告しているが、その一部は出来過ぎに見えるとの指摘もある。

世界各国の政府は消費主導の穏やかなインフレを望むが、中国はコストプッシュ型のインフレ環境、すなわち「悪いインフレ」に陥る可能性が高いと見られている。中国企業は利益率が低下してきている。工場はエネルギーコストの上昇分を価格に転嫁するのが難しく、かつてアメリカで「スタグフレーション」と呼ばれた状況に近づく可能性もある。