アルコール代謝に関係している意外な栄養素
アルコール代謝の過程で働いている酵素はまだある。それが「チトクロームP450」だ。
ほとんどのアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)やアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって代謝されるが、一部はチトクロームP450によって代謝される。
チトクロームP450は、肝臓に多く存在している酵素だが、以前はお酒を飲むと顔が赤くなっていたのに、赤くならなくなってきたという人は、この酵素が頻繁な飲酒によって活性化している可能性がある。
そして注目してほしいのは、チトクロームP450はヘム(鉄とポルフィリンという物質の複合体)を必要とする酵素、ヘム酵素であるということだ。
そこで重要なのがヘム鉄である。ヘム鉄とは、肉や魚などの動物性食品に多く含まれている鉄分である。鉄が足りないとこの酵素は働きにくくなる。
慢性的に大量に飲酒をしている人の場合、ADHやALDHだけではアルコール代謝がしきれないため、チトクロームP450系の酵素が全アルコールの50%を代謝している。チトクロームP450以外にも、このあとお話しするグルタチオンなどを使わないと、アルコール代謝が追いつかない状態となっているのだ。
なぜ、お酒と薬を一緒に飲むと危険なのか
ところで、チトクロームP450酵素は、アルコールだけではなく、薬物の代謝もおこなっている。
薬もアルコールと同じく、肝臓で代謝される。「お酒と薬を一緒に飲んではいけない」とよくいわれる理由はここにある。
薬とアルコールが同時に体内に入ると、薬の代謝にもアルコールの代謝にも使われるチトクロームP450酵素は、両者で取り合いになってしまうのだ。結果、どちらの代謝も悪くなってしまう。
だからアルコールと薬の服用には、十分に注意する必要がある。
アルコール常飲者は、しらふのときでも薬の効きが悪くなる。それは、慢性的にアルコールを摂取しているため、アルコールとともに薬に対しても耐性がつくられてしまうことが原因と考えられている。
またアルコールと同時に薬を服用すると、アルコール代謝が優先的におこなわれてしまうため、薬の分解が遅くなり、効きが強くなり長引いてしまう。
特に糖尿病の薬や睡眠薬などの場合、作用が強く長時間になるため、低血糖になりやすくなったり、睡眠薬が強く効きすぎて昏睡状態になったりする。お酒と薬を一緒に飲むのは大変危険なことなのだ。



