ほめると「いやいや私なんて!」と謙遜する若者
実は私も、大勢の前で自分のチームにいる当時新卒1年目の社員たちに「この資料、めっちゃいいね」とほめていた時期がありました。すると、「いやいや! これは私だけじゃなくて、同期のAさんやBさんにも手伝ってもらってつくったんです。決して私だけの功績ではありません!」と過度に謙遜されたことがあります。
いや、そこは素直に受け取ろうよ……と思いましたが、後日、新卒社員の一人から「長田さんにめっちゃ読んでほしい本があります」と、ある本を薦められました。現在、共同研究をさせていただいている金沢大学の金間大介教授による『先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)という本です。
これを読んで、あのときの部下の心理が理解できた気がしました。さらに本質に迫りたく、金間先生と「若手世代はなぜみんなの前でほめられたくないのか」をテーマに共同研究をスタート。それで気づいたことは、若手世代は自分が周りからどう見られるかを非常に気にしているというリアルな感情の揺らぎでした。
過度な期待をされたくない、出る杭になって打たれたくない
たとえばみんなの前で表彰されると、まわりからさらに期待され、それがプレッシャーになる。それでさらなるチャレンジを与えられると、「同じ給料なのに何で自分だけ頑張らされているの? なんか割に合わなくね?」というネガティブな思いが強くなるそうです。
加えて、彼らは基本的に自分に自信がない。自己肯定感が低くて、謙遜する気持ちが強い。何を聞いても「いや、私なんかよりできる人とか上の人って、もっといるんで」「いや、私より詳しい人いっぱいいるんで」と、自分を必要以上に下げる。自分が目立ちたくない思いもあるけれど、その他にも、自分より上はごまんといることがSNSで可視化されているので、自分に自信が持てない。こうした自己肯定感の低さも、「みんなの前でほめられたくない」気持ちの裏にあるようです。
さらに、ほめられたくないのは、ほめられた先に、自分が「やっぱり違ったね」「期待していたよりできなかった」と思われる“拒否感”を味わいたくないから。自分だけ目立ったら炎上するかもしれない、「出る杭」になって打たれたくない、拒否されたくない、嫌われたくない――そんな思いがとても強いため、相手にも同じように振る舞うわけです。


