3.虐待を受けたタイプ:「どうせ自分はダメな人間」と思い込んでいる
自己肯定感が目立って低いのがこのタイプです。チャレンジする気持ちの強さには個人差があり、そもそもチャレンジとはどういうことか、本人もよくわかっていないことがほとんどです。
自己肯定感が低いのは、虐待を受けたことがあり、その傷が残っているためです。人間は虐待を受け続けると自信を失い、「自分なんか何をやってもダメだ」という無力感に支配されるようになります。もっとも、幼少期に親や周囲から虐待を受けたことがある人はそれほど多くないかもしれません。しかし社会に出てから理不尽な扱いを受けたことがある人は珍しくないでしょう。問題は、本当に虐待を受けたかどうかではなく、本人がそれをどう受け止めたかです。仮に相手に悪気はなくても、本人がそれを「不当だ」「理不尽だ」と思えば、それは虐待されたのと同じことです。
このようなタイプは「自分が好かれるわけがない」「自分にいいところなんかない」という自己否定の色メガネで世の中を見て、他人の言動を何でも悪く解釈するので、職場でも私生活でもよい関係を築くのは困難ですし、まして目標達成をするのは大の苦手です。
このタイプの人たちに私がよく言うのは、「Dのつく言葉は禁止ね」ということ。「だって」「どうせ」「でも」などDのつく言葉のあとは、たいてい「無理」とか「できない」とか、ネガティブな言葉が続くからです。でも言わないと心がけていれば、「ああ、また言っちゃった」と自分のクセに気づくことができます。
このタイプがやる気を取り戻す方法があります。それは「正しく怒る」こと。たとえば嫌いな上司から何か注意されて、逆ギレして言い返すのは正しい怒りではありません。「仕事で見返してやる」と誓うのが正しい怒りです。
「怒り」にはネガティブなイメージがありますが、貧乏や差別をバネにして社会的に成功した人がたくさんいるように、目盛りが振り切れるほどの怒りには、とてつもない力がある。ところが、虐待されたタイプは不当な扱いを受けることに慣れてしまっているので、怒らないことが多いのです。
しかしアスリートでも怒らない人や、負けて悔しがらない人は絶対一流にはなれません。アテネオリンピックの男子体操のキャプテンとして金メダルをとった米田功さんは、その前のシドニーオリンピックに出場できなかった悔しさから、アテネでは金メダルをとると決め、見事に実現しました。正しく怒ることで失敗や敗北をプラスに転化すれば、人生を変えるほどのパワーになることを覚えておいてください。