成功からはあまり多くを学べないけれど、失敗や挫折のなかには、必ず改善のヒントが隠れています。それぞれの挫折パターンの特徴と処方箋を解説します。

【自己診断テスト】http://president.jp/articles/-/11156

1.没落貴族タイプ:プライドが高く、チャレンジ意欲が湧かない

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挫折を繰り返す人6タイプのマッピング

貴族の時代が終わっても、過去の地位に執着した人たちのように、昔の栄光が忘れられないのがこのタイプ。花形産業や羽振りのいい会社に勤めていたことのある、30代後半から40代の人に多いようです。自己肯定感が非常に高いのに、チャレンジする気持ちが低く、それが挫折の原因になっています。

チャレンジする意欲が持てない原因はいくつかあります。まず新しいことに挑戦しようにもプライドが邪魔をすること。

「この俺が、なぜ年下の人間に教わらなくてはならないのか」という気持ちになってしまうのです。

また、なまじ成功体験があるため、「かつてこの方法でうまくいったのだから、ほかの方法を試す必要はない」と思い込んでいる。さらに昔の自分は素晴らしかったという思いが強い人は、「それに引き換えいまはダメだ」と現在の自分を価値のないもののように感じ、やる気を失ってしまうこともあります。

このような状態が長く続くと、「もっと自分にふさわしい職場があるはずだ」と、会社を辞めてしまったりすることもしばしば。しかし当然ですが、お花畑を求めて転職したところで外は猛吹雪、というのが現状でしょう。

なぜこのタイプが現実を受け入れることができないのか。そのヒントは「臨界期」という言葉にあります。臨界期とは心理学の用語で、外界からの刺激が脳の発達に影響を及ぼす限られた期間のこと。たとえば言語中枢が発達する臨界期は7歳までといわれ、7歳以下の子どもは海外で少し生活すれば、すぐに外国語を習得してしまいます。しかしその時期をすぎると、なかなか外国語を話せるようにはなりません。

私は社会人としての成長にも、この臨界期があると思っています。個人差はありますが、多くの人の臨界期は社会人になってから20年間くらい。つまり40歳を超えると、新しい仕事のやり方や、ほかの社会の常識などが頭に入りにくくなってくるのです。没落貴族タイプとは、この臨界期の症状がはっきりしている人たちだといえるかもしれません。そして、変化の激しいこの時代に、真っ先にリストラの候補に挙げられるのは過去にしがみつくこの人たちです。

再びイキイキと働くためには、自分の経験やスキルを棚卸ししてこれまでの成功に貢献したものではない部分に目を向けてみることです。コミュニケーションや上との調整に秀でて職場で重宝がられている、実はITスキルも高いなど、当たり前すぎてあまり気に留めなかった自分の強みが見えてきたらしめたもの。それで何ができるかを考えればよいのです。