週末の「寝だめ」はリスク大
寝だめで睡眠負債はなくせる?
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・睡眠負債を完全には返済できない。
・寝だめで気分は回復しても、脳の働きは回復しきれない。
・体内時計が乱れやすく、「社会的時差ボケ」に。
平日は睡眠不足でも、週末にたっぷり寝れば大丈夫! そんなふうに、週末の「寝だめ」で睡眠不足をリセットしようとしている方は多いかもしれません。しかし、この方法で本当に「睡眠の借金」は返せるのでしょうか。
残念ながら、科学的な証拠を紐解くと「寝だめだけでは、睡眠負債を完全には返済できない」と考えられています。借金にはリスクが伴いますが、期限を守って返済すれば問題なく済むことも多い。しかし、睡眠の負債には取り返しのつかないリスクがあるようです。
もちろん、週末に長く寝ることで、主観的な眠気は改善し、すっきりした気分にはなると報告されています(1)。しかし、「気分」は回復しても、集中力や認知機能といった脳の働き、体のストレス反応は、完全には回復しないことが示されているのです(1~3)。
さらに、もうひとつの問題は、週末に寝だめして起きる時間が大きくずれると、体の中の「体内時計」が混乱します。これは「社会的時差ボケ」と呼ばれ、寝だめによるリズムの乱れによって、かえって月曜日のパフォーマンスが下がる、メンタル面のリスク増加につながる可能性が指摘されています(4、5)。
つまり、睡眠に関しては「借金をしても返せばよい」は通用せず、「そもそも借金をしない」スタンスが必要なようです。週末に頼らず、日々少しでも長く、安定した睡眠時間を確保してください。そう私も自分自身に言い聞かせています。
参考文献
1.Sallinen M, Holm A, Hiltunen J, et al. Recovery of Cognitive Performance from Sleep Debt: Do a Short Rest Pause and a Single Recovery Night Help? Chronobiol Int. 2008;25(2-3):279-296. doi:10.1080/07420520802107106
2.Leger D, Richard JB, Collin O, Sauvet F, Faraut B. Napping and weekend catchup sleep do not fully compensate for high rates of sleep debt and short sleep at a population level (in a representative nationwide sample of 12,637 adults). Sleep Med. 2020;74:278-288. doi:10.1016/j.sleep.2020.05.030
3.Banks S, Jones CW, McCauley ME, et al. Long-term influence of sleep/wake history on the dynamic neurobehavioural response to sustained sleep restriction. J Sleep Res. 2024;33(4):e14117. doi:10.1111/jsr.14117
4.Hsiao FC, Huang YH, Yang CM. The sleep paradox: The effect of weekend catchup sleep on homeostasis and circadian misalignment. Neurosci Biobehav Rev. 2025;175:106231. doi:10.1016/j.neubiorev.2025.106231
5.Fernandes GL, da Silva Vallim JR, D’Almeida V, Tufik S, Andersen ML. The effects of social jetlag and sleep variability on sleepiness in a population-based study: The mediating role of sleep debt. J Sleep Res. 2024;33(2):e14043. doi: 10.1111/jsr.14043


