筆ペンを使うコツは、筆を傷めつけるように書くことです。習字風だと筆先だけ動かして書くのですが、傷めつけるように押し付けて筆の奥まで使って書くと「うまくはないけど味のある字」になります。
今は、イメージをする力が乏しくなっている人が多いためか、言葉だけで説明しても伝わっていないことが往々にしてあります。ですので、目に見える形にしなくてはいけません。たとえば、歴史のある古い酒蔵でおじいちゃんが1人で造っているというような情景を見せないと、限定感が伝わりません。そういう「目に見えるPOP」を作るために、最近ではフォトフレームを利用することも増えています。
たとえば手書きのPOPの横に、実際その商品が雑誌に取り上げられた記事と表紙を載せておく。取材された風景を流しておくのが最もいいのですが、大事なのは「外部から評価されたこと」ですので、とにかく取り上げられたものはうまく使うことが大切です。
かつては職人や料理人、あるいはその奥さんなどが介在して、作っている商品のことをお客様に直接伝えていました。お客様は目に見えるものしか信じません。人間関係がどんどん希薄化して接客で補えなくなった部分を、POPが代弁している──そういう時代なのです。
船井総合研究所 今野良香
1981年、千葉県生まれ。成蹊大学卒業後、船井総合研究所にて食品製造・小売業のコンサルティングに従事。著書に『当たる手書きチラシのルール』(同文舘出版)などがある。
1981年、千葉県生まれ。成蹊大学卒業後、船井総合研究所にて食品製造・小売業のコンサルティングに従事。著書に『当たる手書きチラシのルール』(同文舘出版)などがある。
(構成=相馬留美 撮影=和田佳久)