iPhoneが人間の生活を一変させた
「スマホに代わる“次のデバイス”は何だと思いますか?」
私が配信しているメルマガ『週刊 Life is beautiful』には、毎週のようにこうした質問が寄せられます。多くの人がこの問いに関心を持つのも当然でしょう。2007年にiPhoneが登場して以来、私たちの生活は一変しました。
変わったのは私たちの生活や習慣だけではありません。スマートフォンは、世界経済の主役そのものを入れ替えてしまいました。その象徴がAppleです。時価総額はいまや4兆ドル(約600兆円)を突破。
ここまで時価総額が跳ね上がったのは、単に「高価な電話機がたくさん売れた」からだけではありません。スマホという「常にネットにつながったデバイス」が人々の生活を支配したこと。そして、それによりあらゆるビジネスの主戦場が、「手のひらの上のプラットフォーム」へとシフトしていったからです。
もちろん、スマホがすべての商売を奪い取ったわけではありません。いまでも私たちは街のレストランで食事をし、デパートやショッピングモールで買い物を楽しんでいます。しかし、その店を「どうやって見つけるか」「どうやって予約し、どう支払うか」という決定権の多くは、スマホの画面の中に移りました。
人々の「関心」と「お金の出口」の多くをスマホが握るようになった。この「流れの入り口」を押さえたことが、Appleのようなプラットフォーム企業に莫大な富をもたらしたのです。
革命の本質はデバイスの「形状」ではなく「知能の進化」
では、かつてのスマホのように、次は何が私たちの日常をひっくり返し、どの企業が主役になるのか。スマートグラスなのか、あるいはスマートリングなのか。ペンダント型のデバイスが躍り出てくるかもしれない。もしかすると、折りたたみ型のスマホが主流になると思っている人もいるかもしれません。
しかし、「次のハードウェアは何か」という視点だけで未来を予測している時点で、実は少しピントが外れています。なぜなら、次に起きる革命の本質は、デバイスの「形状」ではなく、その背後にある「知能」の進化にあるからです。
これまでは、デバイスそのものが主役でした。しかしこれからは、主戦場が「ハード」から「知能」へと完全にシフトします。デバイスがメガネの形をしていようが、指輪の形をしていようが、それは本質的な違いではありません。それらはすべて、背後にある巨大な知能へアクセスするための「インターフェース(接点)」にすぎないからです。
つまり、私たちが「次のスマホ」と呼ぶべきものの正体は、特定のハードウェアではなく、「24時間、自分と視界や音声を共有し、常に隣で支えてくれるパーソナルAIアシスタント」という新しいプラットフォームそのものなのです。


