世界トップクラスだった半導体も…
自前主義であった製造部門を切り離し、他社からの受託生産も視野に入れる大転換をしました。それでも、パソコン事業はその後も苦境が続き、2011年に中国レノボ社との合併化に踏みきることで、長年の「コア事業」に事実上の終止符を打ちました。
パソコンと並ぶNECのもう一つの柱であった半導体事業も、国際競争の激化により次第に存在感を失っていきました。NECは1980年代後半には世界トップクラスの半導体メーカーとして知られていましたが、韓国・米国勢との激しい競争の中で次第に劣勢に立たされます。
特に、汎用品であるDRAM(PC作動時の記憶メモリ)事業は、巨額の設備投資を必要とする一方、市況変動が激しく、収益性の確保が難しい分野でした。そこでNECは生き残りを図るため、1999年に日立製作所とDRAM事業を統合し、合弁会社「エルピーダメモリ」を設立しました。
さらに、2002年にはDRAM以外の半導体事業を「NECエレクトロニクス」として分社化し、翌2003年に上場させています。しかし2010年代に入ると、再編の動きはさらに加速します。NECエレクトロニクスは旧ルネサステクノロジと統合し、2010年に「ルネサスエレクトロニクス」となりました。
どん底から這い上がり、奇跡の復活
その後、2013年には政府系ファンド主導の増資により、NECは持分法適用対象から外れることとなります。かつてNECは、NECエレクトロニクスの過半数の株式を保有し、実質的な支配権を有していました。
そのため市場では、親会社の意向による事業調整の可能性が指摘されることもありましたが、最終的に半導体事業はNECの手を離れる結果となりました。こうした半導体事業の不振は、NEC全体の業績悪化の一因となり、同社が事業構造の転換を迫られる背景の一つとなったのです。
NECは、パソコン事業での敗退や半導体事業での凋落を経て、現在は企業変革を推進しています。その軸は、長年の通信インフラ構築で培った技術力と、官公庁や通信事業者向けに強みを持つITサービスです。
コンピュータや通信機器の納入を通じて培ってきた企業・官公庁向けのシステム構築、運用・保守の事業は、NECの「原点」であり、現在も主力事業です。
2000年代以降、NECは顧客の業務課題をシステムで解決するSIer(システムインテグレーター)事業の高収益化に注力し、コンサルティング能力を持つアビームコンサルティングの買収などを進めています。

