また、アメリカの攻撃が国際法違反かどうかの評価を避けている政府の姿勢については理解を示す声が多数を占めているが、イラン攻撃そのものについては7割以上が「支持しない」としている。

結局、日米首脳会談では、トランプ大統領を持ち上げたことはともかく、日本としては日米同盟を尊重しながらも、憲法9条の下でアメリカの武力攻撃に協力することはできないと明確にしたことが、国民の多数の支持を得る結果につながったと言えるだろう。

当然のことながら、巨大与党を背景に憲法改正の早期実現にチャレンジしたいと明言していた高市首相にとっては、頭の痛い問題だ。当分の間、停戦が見通せない状況の中で、憲法改正、とりわけ9条に関わる改正を持ち出すのは政治的なリスクが大きすぎる。

保守派のとまどい

あの高市首相が憲法9条を盾にトランプ大統領の要求を断った、という事実は、これまで憲法改正を掲げる高市首相を支持して来た保守派の間にも複雑な影を落としている。

強硬保守派の論客がそろう月刊誌を見ると、憲法を盾に貢献を渋ったことへの論評は脇に置いて、日米の絆を確認したという点で会談は大成功だったという見出しが躍っている。そして、アメリカのイラン攻撃については、核開発疑惑だけでなく、市民を弾圧しテロ組織を支援してきたイランを非難し、トランプの「力による現状変更」を支持する論調が目立つ。そのトランプと良好な関係を結んだことが外交的な成果だと言う主張だ。

2025年6月21日、ドナルド・トランプ大統領と国家安全保障チームがホワイトハウスのシチュエーションルームで会合を開いた
2025年6月21日、ドナルド・トランプ大統領と国家安全保障チームがホワイトハウスのシチュエーションルームで会合を開いた(写真=Daniel Torok/ホワイトハウス/CC-PD-Mark/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

しかしトランプが中東に力を注ぎすて極東への関心が低下すると、結果的に中国や北朝鮮を利することになる。高市首相がトランプに抱き着いて、日米同盟の絆を再確認したことは重要な外交的な成果であることは間違いないが、一方で中国を牽制するための日米の共同歩調という点では懸念も残る。イラン情勢が、泥沼化する恐れも出てきた中では、この事態が長期化することも覚悟しなければならない。

高市首相を支持する岩盤保守層にとって、憲法改正だけでなく、防衛装備品の移転拡大などの保守派が望む政策実現も、見通しがつきにくくなっている。

仲介役を目指した安倍晋三氏

戦後の日本とイランの関係には特別なものがある。日イラン関係にも携わった元外交官は、日米同盟の下でも、日本は独自の判断でイランとの関係を良好に保ってきたと話す。特に2019年、第1次トランプ政権のアメリカとイランが核開発をめぐって一触即発の危機にあった時に、当時の安倍晋三元首相が単身イランに飛んで、当時の最高指導者ハメネイ師らと会談したことに改めて注目すべきだと話す。