泥沼化の恐れも出てきたイラン戦争
「4週間でカタをつける」「無条件降伏しないと見たこともない攻撃を加える」
そう豪語していたトランプ大統領だが、その強気の姿勢とは裏腹に、戦闘はすでに1カ月を過ぎ、ホルムズ海峡は事実上イランによって封鎖された。中東地域からの石油出荷が制限され、世界経済への影響も出始めた。米国内でも無謀な戦争を始めたことへの批判が高まっている。
そのトランプ大統領にどこまでついていけるのか。日本の政府内でも先行きが見通せない不安が広がり始めた。第一ラウンドの日米首脳会談では、とりあえず憲法9条を盾にして自衛隊派遣はできないと意思表示をしたが、トランプ氏がいつまでも納得してくれるかどうかは不透明だ。首脳会談の後も、「日本は4万5000人の米兵で守られている。協力しないのは不公平だ」「憲法があっても、何かやってくれるだろう」等々、トランプ氏は、相変わらず子供のような乱暴な発言がやまない。
自民党防衛族のある閣僚経験者は、高市首相は初動を誤ったかもしれないと言う。
「イタリアのメローニ首相はトランプに近いことで有名だが、早々とこの戦争は国際法違反なのでイタリアは参戦しないと宣言した。イラン攻撃の国際法上の評価を避けている日本は、ずるずるとついていくしかない。自衛隊派遣を拒否するには、いまや憲法9条だけが頼り、という皮肉なことになってしまった。トランプに本当に気に入られているのなら自制を促す言い方もできたはずだが、『世界を平和にできるのはドナルドだけ』なんて言ってしまったから、今さらやめてとは言えないだろう」
ついに高市首相も護憲派に
こうした状況に護憲派のなかからは「憲法9条の制約を高市首相が口にしたことは大きい。これで、日本が戦争に巻き込まれないのは9条があるからだと高市さんも分かっただろう。いまや高市さんが護憲派のトップランナーだ」と皮肉たっぷりに「応援」する声も上がっている。
高市首相の改憲への信念は変わっていないようだが、「日米同盟は重要だが、軍事的な貢献には否定的」というのが世論の大勢だと認識しているのだろう。
日米首脳会談の後に行われた報道各社の世論調査からも、そうした傾向が見て取れる。
内閣支持率は、依然として60%~70%前後の高い水準で、日米首脳会談の評価も、おおむね6割以上が「評価する」だ。ただ、自衛隊の中東への派遣の是非を聞くと、△賛成24%、反対67%の読売新聞をはじめ、△賛成18%、反対74%(日経新聞・テレビ東京)△賛成4%、停戦後なら賛成33%、停戦後でも反対49%(毎日新聞)という結果だ。世論の大勢は少なくとも停戦前の自衛隊の派遣には慎重だ。
