思い詰めて男を殺そうとするが…

泥酔した夜のことだった。吉田と玲子は線路脇の細い道を歩いていた。貨物列車が通りかかったその瞬間、玲子は吉田を線路へ突き飛ばし、全身で押さえつけた。

「何をするんだ」「殺すのさ」。強姦したのはいい。結婚してくれなくてもいい。だが、俺の奥さんになる人は、美しくて利口で血統がよくて……馬鹿にするな、私でも女だぞ。心があるんだぞ、と玲子は思った。「お前の子を他の女に生ますものか。天才の私のように一代で死ね」。だが、「悪かった。助けてくれ」と命乞いをする吉田の醜さを見て、急に馬鹿馬鹿しくなった。玲子が身を離すと、吉田は這いつくばるようにして逃げ去った。

そんなある日、「近代詩人」同人の尾崎徳から「俺は、君と日本一美しい恋をしてみせる」という手紙が届いた。そして一週間後、同じく同人の冬園節、篠原啓介とともに四国から岡山にやってきた。旅館の一室で玲子は徳と節の間に挟まり、徳と関係した後に節とも関係した。吉田にされたことを自分もしてやろうと思ったのだ。徳は怒って加代と関係したが、玲子のことを忘れられず、四国に帰った後に手紙を寄越した。

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