なぜ日本史や皇室への言及が少ないのか

もちろん高市首相はタカ派として知られる故・中川昭一氏とも昔から近い関係にあり、いわゆる歴史教科書問題にもコミットしてきた。ブログでも安倍元首相のキャッチコピー「美しい国」や、「教育勅語」に関するエピソードについても書いている。一方で、伝統を守る保守派にしては、日本史や日本文化への言及が少ないように感じる。

例えば皇室問題について語る際、高市首相の論点は「初代から受け継がれたY染色体を伝えるには、男系に限る」という点にあり、天皇家の歴史についてはほとんど言及がない。

また、積極財政派を自称するなら、例えば第一次世界大戦後のいわゆる「高橋財政」について触れてもいいように思う。1929年以降の世界恐慌から当時の日本経済はいち早く立ち直ったとされるが、それは当時の大蔵大臣・高橋是清が採用した「積極財政」が功を奏したとされ、積極財政派の論者がよく引用するからだ。

高橋是清
高橋是清(写真=講談社現代ビジネスウェブサイト/PD-Japan-oldphoto/Wikimedia Commons

高市ブログで語られるのは基本的には第二次世界大戦以降の話で、戦前の政治に言及することはほとんどない。あくまで筆者の主観ではあるが、高市首相は日本の歴史にあまり興味がないような印象を受けた。もちろん政治家が歴史に詳しい必要はないが、「日本の伝統を守る保守強硬派」というイメージを裏切るのも事実だ。

選挙のために「保守派」を名乗っているだけ

結局のところ、高市首相の本質には「リベラル寄りの意識高い系グローバルエリート」で「競争が大好きな自己責任論者かつ新自由主義者」の部分があるのではないのか。選挙のためには保守派としてのイメージを売り出したい。だが、高市氏のもともとの性格や思想信条からすると、保守強硬派になり切れない部分もあるため、なにかパフォーマンスするたびにウソくささが漂ってしまう。そうした演技が保守層に見破られつつあり、疑いの目を向けられている。これが実態なのではないだろうか。

単なる筆者の推測とはいえ、そう考えるといろいろな点でつじつまが合う。

前述した百田尚樹氏らの反応は、高市首相のそうした本音を察知したものだったように思われる。

支持者の「高市離れ」はすでに始まっている。筆者らの推測が誤りだと言うなら、高市首相みずからが表に出て発言し、疑惑を正していくしかないだろう。

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