「なんでお前らがスカウトやってるんだ」

その後の動向を探るべく、いまも現役で外販をする木村郁弥きむらいくや(仮名/40代)に話を聞いた。木村は言う。

「ナチュラルが夜ホストの外販をはじめたのは、いまから2年前のことです。それまではスカウト行為をするなかで女の子が『ホストに行きたい』となれば、僕ら夜ホストの外販に流して(パスして)バックだけをもらっていました」

ナチュラル流入の証拠というか、藤田の証言を補強するものとなった。朝ホストのキャッチ行為だけではなく、夜ホストもはじめたのが2023年ごろからだと理解していい。

ナチュラルが大手を振って外販をはじめた引き金は、某巨大外販グループの“スカウト参入”だった。

(なんでお前らがスカウトやってんだ。なら、俺らも外販やるぞ)

ナチュラルと某巨大外販グループが言い争うなか、夜ホストへのナチュラル流入は、この返す刀で発した一言で幕を開けた。

協力関係を築いてきた

そもそもここ歌舞伎町で両者は長年、お互いの強みを生かして協力関係を築いてきた。だが、このころからシマ割りや利権が形骸化した。

高木瑞穂『ルポ 風俗の誕生』(清談社Publico)
高木瑞穂『ルポ 風俗の誕生』(清談社Publico)

この一件が、キャッチ行為の現場を混沌こんとんとさせた面は否めない。

木村は「男引きが女に積極的に声をかけたり、スカウトがホストやキャバクラに客を紹介したり、僕ら女引きも消極的だけど男をキャバクラに案内したり」と放埒ほうらつな内情を明かしつつも、こう話す。

「でも、それでも、それぞれ強み(利権)が違います。だから実際は対立していません。お互いに協調しあっています。実入りは半分になるけど、多くは客を流し(パス)あってバックをもらっているのです」

ちなみにキャッチ行為のバック率は、以下のとおり。

・ぼったくり系(キャバクラ、バー)は50%
・ギャンブル系(インカジ(※)、裏スロ(※)、本バカラなど)は売り上げの30%

直に案内すれば総取りだが、つかまえた客をパスしても半金がバックされる取り決めだ。

※インカジ インターネットを使った違法賭博店「インターネットカジノ」の略。
※裏スロ 違法に営業されているパチスロ店。

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