視聴者属性はテレビより若い
これまではユーザーが「参加する」余地が狭かった放送メディアによる20世紀型のプロモーションに対して、Netflixによる独占は配信だけでなくSNSを使ったインタラクティブな施策はこれでもかというほどに展開されている。
かといって出場30選手のゆかりある自治体・学校でパブリックビューイングも行い、アナログなイベントも開催している(29自治体・学校が77回開催し、1万1636人が参加)。新興メディアのNetflixが視聴のウィンドウを絞りに絞ってとにかく課金・登録にと一気呵成にやっているわけではないようにも見えた。
何より画期的だったのは「視聴者属性」である。Netflixの属性は、35歳未満が30%、49歳までで53.4%だった。
メディアジャーナリストの境治氏の分析によると、TVAL(スイッチメディア社の視聴測定ツール)ではテレビ放送の属性は「35歳未満が17%未満」だったことに言及し、「(テレビ)放送がいかに高齢者よりで、配信だと若者の比率が大きく増えることが分かる」数字だと分析している。
「NetflixのWBC独占配信は、放送から配信への時代の変化を決定づけた」(境治氏)Yahoo!ニュース
女性比率も半々という数字も驚きだ。従来の「プロ野球」ファンは、GEM Partners社の「推しエンタメブランドスコープ」では女性比率3割で平均年齢も43歳となっている。今回の結果がずいぶんと年齢を引き下げ、女性に広げたという結果だ。日本戦以外を視聴したユーザーも半分以上おり、十分に視聴者の興味の幅も広げている。
動画拡散という強力な援護
個人的にはこうした中で断トツの成果は、「WBC最強応援団」を中心としたSNSでの巻き込みである。
関連動画1700本、総再生数2.7億回(16万回/本の平均再生数)というのはYOASOBIの『アイドル』やCreepy Nutsの『Bling-Bang-Bang-Born』など世界的ヒットとなった楽曲の「歌ってみた/踊ってみた」の数字の2~3倍規模に広がったといえる。
これらのヒット曲は公式が1曲で1億回再生されると同時に、ほかのクリエイターが1~2カ月の間に1000本ほどあげて1億回再生を実現している。
エビリー社の分析ではWBCにおけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の動画拡散は3層構造になっていたという(図表5)。
公式281本で5329万回再生(19万回/本)、Netflix公式クリエイター達が332本で5934万回再生(18万回/本)、そして一般のクリエイターが6779本で4億回再生(6万回/人)と、ずいぶんと裾野が広い。
音楽以上に野球などのスポーツはUGCを使った切り抜きの広がりが有効で、かつ1動画単位での視聴も数万回再生と広くみられる。ということは今後、スポーツ×UGCはより広まっていくことが考えられる。
エビリー社の分析によれば、「WBCにおいては公式が素材を供給し、公式クリエイターがその素材を使って話題を広げ、一般クリエイターが熱量を持続させる多層構造」としている。著名芸能人というアンバサダーたち以上に「強力な布陣」が協力していたのがわかる。




