有料配信でもW杯に並んだ
図表5はカタールWCが開催された2022年11~12月に同社が計測していたトラフィック量および各メディアから公表されていたアクセス数だ。
11月23日の日本対ドイツ戦の1000万人視聴からコンスタントに上がり続けた。日本の試合4戦すべて右肩上がりで、ついに12月5日のクロアチア戦では約2300万人と視聴者を伸ばす結果となった。
あくまで視聴率であるために本当に実数かどうかが不明ではあるが、放送時に3000~5000万人が視聴する「国民イベント」の変化が見てとれる。
2022年のカタールWCでは、配信だけで無料視聴が2000万人クラスの実績をたたき出した。今回の2026年のWBCでは「有料配信」という限定性にもかかわらず、2000万人近い集客を実現するようになった。この意味では、確かにWBCが「過去最大の視聴」という表現も決して誇張ではない、ということができるだろう。
革新的だったSNS戦略
Netflixによる配信は様々なアップデートがあった。画質はよくなり、日本戦以外も網羅的に視聴ができる。立体的なリプレイ映像の「ボリュメトリックビデオ」や、ボール軌道・スイングを足元目線から伝える「ダート・カメラ」、球場のスケール感もわかる「インドアドローン」など視聴映像としての技術レベルはあがっている。アンバサダーに渡辺謙、二宮和也、そして応援ソング稲葉浩志の『タッチ』など芸能人を起用し、裾野も広げている。
プロモーションの仕方もずいぶん革新的に感じた。「WBC最強応援団」と銘打ったクリエイターたちには、公式映像素材の使用許可が得られる。YouTube、X、TikTokでクリエイター達が熱心に動画を上げるには「インセンティブ」もあるのだ。
しかもその広告収入は全額それぞれのクリエイターの収益にしてよい。全47試合で映像・音声のみなど加工をともなわないものはNG、なんらかの付加価値をつけたうえで「期間中に最低3本以上の動画配信」「日本以外の参加国を題材にした1本以上」など全体を盛り上げることに貢献してもらおうという配慮が見える。
HIKAKINの動画は「日本VSチェコ」で53万回再生、「日本VS台湾」で131万回再生だ(2026年3月15日時点)。

