150億円は成功した投資
App Magicなどで計測すると1000万人が登録するNetflixアプリは試合期間中に倍近くに膨れ上がり、その後は大きく揺り戻しながら300~400万人といったユーザー規模は残る動きだ。
そもそも「150億円」という数字は、Netflixの場合、100万人強が入会してしまえば十分に回収できるほど、1ユーザーあたりからの回収額・率が高い。想定加入者4.9%は世帯数5600万で割れば280万契約となる。
Netflix社は年間25~30億ドル(3750~4500億円)のマーケティング費用をかけて、新規で2~4000万人の新規会員を獲得している。1人加入すれば平均1年近くは継続し、解約率を含めても1人あたり100ドル以上の収益は確定している。
単純に2025年の数字だけを見れば、1人約90ドル(1.35万円)で獲得してきたというKPIにおいて、今回残るであろう300~400万人は「おつり」が出る数字だ。Netflix視点でみれば150億円は十二分に成功した投資、と明言できる状態にある。
ABEMAの成功例
個人的にはこの投資によって、Netflixの有料配信業界における覇権的なポジションが確立するのだろう、という感覚をもっている。
記憶に新しいのは配信事業者のABEMAが行った2022年12月にカタール・ワールドカップ(WC)だ。
配信権獲得に100億円をかけたと噂される同社の過去最大の“買い物”(※)の成果は、WC期間中に700万DLを獲得し、WAU(週間アクティブユーザー)が3409万人(前週の1243万人から+2000万人強)にも達した。
最終的にWCシーズンが越えたあとの2023年3月時点で1980万人と、昨対比1.5倍で+600万人ほどが上位固定する、というものだった。ABEMA無料登録ユーザーを一人当たり1500円で獲得したことになる。
(※ ABEMAがFIFAに払ったのは総額200億円で、NHK、テレビ朝日、フジテレビ3社が残りの金額を賄ったと言われる)
藤田晋社長は「ABEMAはワールドカップで大きな飛躍を遂げた。日本代表のおかげだが、ユーザーの高い評価のほか、コンテンツホルダや出演者からも強い興味を持っていただき、広告主の関心も非常に高くなった。ABEMAの潜在的な価値は大きく向上した」とその100億円投資を十分にペイしたものと発表している。
※Impress Watch「ワールドカップがABEMAにもたらしたもの 『価値は大きく向上』」2023年1月25日
WCからはや3年、ABEMAはいまやWAU3000万人近い数字を維持しており、明らかにあのWC配信独占がターニングポイントとなって「ユーザーが定着した」格好である。
