「投影性同一視」を理解すれば自由になれる
「投影性同一視」を理解しておくと、他者に振りまわされなくなります。
投影性同一視とは、他人の感情や期待が自分の心の中に入りこんで、まるで自分の本音のように感じてしまうことです。
たとえば、親に「あなたは優等生だったのに」「もっとできるはず」といわれると、自分でもそう思わなきゃいけない、そのイメージを裏切ってはいけない、という気持ちに支配されます。
パートナーが不安がると、「安心させなきゃ」と自分も無意識に不安を背負ってしまいます。つまり、他者が「投げこんできた感情」を、自分の内側で引き受けてしまう心のしくみです。
どうしたらそこから自由になれるのでしょうか? いくつか紹介します。
感情にタグづけする
一つは、これは「だれの感情か」と自問してみます。自分の感情がモヤモヤしてきたとき、「これは私自身の気持ち? それともだれかの期待に反応しているだけ?」と問い直します。「感情にタグづけする」と、他者の感情に巻きこまれにくくなります。
身体の反応に注目する
投影性同一視が起きているとき、呼吸が浅くなる・肩がこる・胃がキリキリするなど、身体が「違和感」を教えてくれることがあります。「あ、いまの私は、だれかの気持ちを代わりに感じているかもしれない」と気づけるようになります。
ジャーナリングで頭の中を整理する
書き出してみる(ジャーナリング)
自分の中のモヤモヤをノートに書き出すことで、「これは○○の価値観だ」「これは社会の理想像だ」と、自分のものではない感情を切り分けられるようになります。
ここで効果を発揮するのが「ツァイガルニク効果」です。人は「未完の課題」や「整理されていない気持ち」を頭の中に引きずりやすいという現象です。
「あれをやらなきゃ」「これもやらなきゃ」という未解決・未完結のもので、頭の中が埋めつくされていたら、言葉にして「書き出す」「頭から外に出す」ことで、思考がいったん区切られ、メタ認知(自分を一歩引いて見る力)が働きやすくなります。すると、感情をかなり客観的に眺められるようになります。
ウィニコット的アプローチ=「本当の自己」を守る
小児科医の名医といわれたドナルド・ウィニコットは、「真の自己(True Self)」と「偽りの自己(False Self)」の概念を提唱しました。投影性同一視に巻きこまれると、「偽りの自己」で生きざるを得なくなります。だからこそ、「これは私の選択か?」「私の欲求か?」と問い直すことが、「本当の自己」へ回帰できます。
以上のように「本当の自分を手放さないテクニック」を身につければ、他人が持ちこんできた荷物を、自分のリュックに詰めこまずに済むようになります。
自分の感情を「ラベリングする力」や他人の課題を「分離する力」と「はね返す勇気」(心理的境界線を引くこと)を持つことで、「私は私でいていい」という自己肯定感が高まります。

