※本稿は、和田秀樹『手放す勇気』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
手放してはいけない「本当の自分」は守る
あっさり手放したいものなら手放していいのですが、「自分の大切な時間」「自尊心」「本当の自分」は手放してはいけないものです。
他者からの圧力で、これらを手放さなければいけないような状況に追い込まれたとき、ビジネスでもよく使われているテクニックがあるので紹介します。
クッション話法
相手の主張をすぐ否定せず、いったん受け止めてから、自分の気持ちを伝えます。「なるほど、その視点もよくわかります。でも、そのうえで自分の気持ちを伝えると……」など。
YES/AND話法
相手からの無理な提案には「ディール(取引)」が役立ちます。「Yes,and」で自分の希望を上乗せして返します。「そうですね、それを進めるのであれば、私が希望する○○が必要です」など。
ただ手放すだけでなく、「自分が本当に必要なもの」をプラスすることで、自己効力感を保ったまま手放せます。
時間を稼ぐ交渉力
「ちょっと考えさせて」「うちに帰って家族と相談してみる」「いますぐには答えが出せません」と、冷静になって判断する時間を確保します。
焦って何かを手放すと、後悔しやすいものです。自分のペースで「なぜそれを手放すのか」「それによって何を得たいのか」を見つめ直す時間を確保することは、無力感を避けるためにも非常に大事です。
感情と事実を切り分ける
感情的な返答を避け、冷静に「できること/できないこと」を整理して伝えます。「悔しい」「納得できない」といった感情と、「それを続けることがもう難しい現実」とを切り分けると、冷静に手放す判断ができるようになります。
また、感情と行動を切り離すことも大切です。
たとえば、「介護することは思いやりと愛情の証である」と混同されがちです。介護できない人は、愛情がないのでしょうか? それは間違いです。介護ができなくても、あなたの家族への愛は変わらないのですから。

