浣腸や飲み薬はクセにならない

もしかしたら便秘は医療機関で治療できるものだと知らない人もいるかもしれませんが、小さい子でも大きな子でも、早めに小児科を受診するのがおすすめです。そのほうが本人がつらくないし、治療期間も短くてすむでしょう。

受診時にすでに苦しい状態になっている場合、外来で浣腸をしたり、手で便を出す「摘便」や腸を洗う「洗腸」をしたりして、まずは詰まっている便を出します。綿棒にワセリンや油を塗ったもので肛門を刺激するだけで出る場合もありますが、そのくらいの刺激では出ない状態になっていることもあります。

私自身は経験がありませんが、便秘がひどい場合は麻酔を使って摘便をしたり、数日かかって便を取り除いたりすることもあるようです。浣腸のいいところはすぐに便が出るのでラクになることと、効果がその場で確認できること。でも、子どもが成長すると浣腸を嫌がるので内服薬を使うこともあります。

こういった浣腸や飲み薬がクセになってしまうのではないかと心配する方がいます。しかし、便が浣腸しないと出ない、薬をどんどん増やさないと出ないということにはなりません。むしろ、便秘を我慢すると便秘がクセになってしまいます。

生活習慣の改善がとても大切

いったん直腸に溜まっている便を取り除いたら、また溜まってしまうことなく大腸から直腸に便が降りてきたらすぐに排便できるように生活習慣を改善します。

規則正しい生活をする、外遊びなどで体を動かすほか、トイレは我慢せずにすぐに行く、トイレにゆっくり座る時間をつくる、といった習慣が身につくようにしましょう。トイレは清潔で明るい環境にし、足がブラブラしないよう台などを置いて子どもが気張りやすいようにします。自分でトイレに行けないような小さい子の場合は、「うんちをするとスッキリする」ということを何度も体験することが大事です。

子どもの足の下に台をおくと、踏ん張りやすくなる。
ChatGPTを使用して筆者作成
子どもの足の下に台をおくと、踏ん張りやすくなる。

食事の工夫としては、バランスよく、十分な量を摂るようにします。そして、食物繊維の摂取量を増やしましょう。私たちが食物繊維が豊富だとイメージしやすい食品といえば、玄米や芋類、根菜、豆などですね。これらに含まれるのは「不溶性食物繊維」で、便のかさを増してくれます。一方、海藻やキノコ類、果物などに多く含まれるのは「水溶性食物繊維」で、腸内細菌叢を活性化して腸内環境を整え、腸内に水分を増やして便を軟らかくします。不溶性食物繊維ばかりを摂りすぎると便が硬くなってしまうので、この両方を摂取しましょう。

【図表1】食物繊維の分類
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方を摂ることが大切。

私たちの便は、食べたものの残りと腸内細菌、消化液、腸壁から剝がれた粘膜などのさまざまなものでできていて、固形成分が全体の約4分の1、水分が約4分の3であるのが健康な状態です。だから、水分を十分に摂ること、水溶性食物繊維で便に水分を与えることが必要なのです。