8つのブロックでトーナメント
それでは、この大会はどうやって勝ち上がっていくのか。
これについても、私が考えた構想がある。
まず、大会そのものは、全国の都道府県で予選があり、決勝を勝って頂点に立った学校が、①北海道、②東北、③関東、④北信越、⑤東海、⑥近畿、⑦中国・四国、⑧九州のそれぞれ八つのブロックのなかでトーナメントを行う。
そうして、①から⑧の頂点に立った各1校が甲子園球場に集まって、ここから7イニング制の甲子園大会が始まるというわけだ。
これなら、大会そのものが4日程度で終わるし、ペナントレースが始まっている阪神にも影響をおよぼさない。
極端な話、この大会が甲子園で開催されている期間だけは、阪神が関東遠征に出て巨人、ヤクルト、DeNAあたりと対戦しているのだっていい。
これなら、7イニング制の大会を開催するのは可能となるわけだ。
弱小校が強豪校に勝てるチャンスがある
考えてみてほしい。
夏の甲子園とは別のかたちで7イニング制の大会をつくれば、横浜や大阪桐蔭といった強豪校のAチーム、つまりレギュラークラスの選手は7イニング制の大会には出ないと考えるのが普通だろう。
そうなると、ワンチャンスとなるが、「横浜や大阪桐蔭といった野球強豪校に勝てるかも」というチャンスだって生まれてくるかもしれない。
その結果、「7イニング制のほうが甲子園に出るチャンスはあるかもしれない」と考える学校も出てくるかもしれない。
ここでは、どうしても「かもしれない」という仮定の話が多くなってしまう。そうして7イニング制を選ぶ学校が多ければ、7イニング制の大会を実施すればいいし、もし7イニング制を選ぶ学校がほとんどなければ、従来の9イニング制のスタイルの大会を継続すればいい。
ここまで考えてあげるべきだろう。
もし私が進学校で野球をやっていたら、間違いなく「7イニング制の大会に出場しよう」といっている。
従来の大会に出場したところで甲子園出場は夢のまた夢だし、何度も申し上げるが、たとえワンチャンスだけでも甲子園に出場できる可能性があるとすれば、9イニング制の従来の大会より、レギュラークラスの選手を9イニング制の大会に送り出した野球名門校の実力が落ちるであろう7イニング制の大会のほうだ。
たとえば、東京や大阪はもとより神奈川、埼玉、千葉、愛知あたりだと、甲子園に出場するまでには1回戦から戦ったとして、8度勝たなければならない。
仮に2度、3度勝ったとしてもAシード、Bシードの強豪校と対戦することになれば、そう簡単には勝てないと普通なら考えるはずだ。
早めに受験勉強に専念できる
それなら、少しでも甲子園に出場できるチャンスがある7イニング制の大会に出場し、惜しくも途中で敗退してしまっても、そのあとは受験勉強に専念できるのだから、こちらを取ったってメリットはある。
よく6月下旬くらいになると、最後の夏にベンチ入りできなかった3年生部員が他校と「壮行試合」のようなことを行っている学校があるが、この場合は練習試合であって真剣勝負ではない。
一方で、7イニング制の大会は真剣勝負である。
だったら、後者の大会に出場したほうが、彼らにとってもより真剣度が増し、随所で熱いプレーが繰り広げられるんじゃないかと思うのだ。
7イニング制議論で忘れられている選手の視点
高校野球への注目度については、夏はとにかく高い。
炎天下の甲子園でプレーしていることを朝の情報番組で取り上げ、野球をやったことのない識者に聞くものだから、
「こんな暑いなかプレーするなんて、熱中症で倒れたりしたら、大変なことになりますよね」
などとコメントし、夏の甲子園反対論者がワンサカ現れてしまうのがオチだ。
それなら、もっと現場の指導者や選手たちの声に耳を傾け、「やっぱり9イニング制でやりたい」というのであれば、それを止める権利は大人にはないはずだ。
高校野球は、このようにいわれてしまいがちだが、
「それでは、ほかのスポーツはどうなんですか?」
ということも聞いてみたい。

