これからの思考力は「選ぶ力」
――うっ。
最近の大学生のレポートもそう。いまはAIに下書きを書かせて、それを直して提出するのが当たり前になりつつある。
――それってカンニングじゃないの? ズルでしょ。
ここが難しいところでね。これからの時代は、それを「ズル」とは呼ばなくなるかもしれない。
――どういうこと?
「書く」ことにおいて、昔は「ゼロから文章を書く力」が思考力だった。でもこれからは、AIが出してきた複数の案から「どれが一番イケてるか」「どれが倫理的に正しいか」を判定して選ぶ力、つまり編集長のような能力(問いを立てる力・価値を判断する力・責任を引き受ける力)が、新しい思考力の定義になっていくんだ。
やがてアルゴリズムに「選ばされる」
――ふーん……。「書く人」じゃなくて「選ぶ人」になるってこと?
簡単に言うと、そういうことだね。
でも気をつけないと、選んでいるつもりがいつの間にか「AIが選んだものにただハンコを押すだけの人」になっちゃう。それがさっき言った「人間がシステムの一部になる」ってことさ。
――私たち、便利になりすぎて、逆に自分たちを機械にしてたんだ……。
その通り。AIが人間に近づいているんじゃない。人間がAIに近づいているんだ。就職活動でも、最近はAIが履歴書を採点するくらい。「このキーワードが入っているから合格」とかね。そうなると学生たちはAIに気に入られるために、自分の個性を消して「検索されやすい人間」になろうと必死になる。
――それって、人間がシステムの一部になってるってことじゃん。ハイデガーの予言、的中しすぎてて怖い……。
じゃあ、どうすれば「人間」を取り戻せると思う?

