年金で利用できる「公的年金等控除」

退職金が退職所得控除額よりも少なければ税金はかかりません。また、退職金が退職所得控除額よりも多くても、退職所得となるのは超過分の金額の2分の1ですから、退職所得控除の効果が大きいことがわかります。そのうえ、退職金を一時金で受け取る場合は社会保険料の負担もありません。

一方、年金で受け取る場合は、退職所得控除は使えません。その代わり、公的年金等控除という控除が利用できますが(図表2)、控除される金額は退職所得控除よりも少なくなります。

【図表】公的年金等控除
作成=Money&You

退職金を調整して手取りを増やす

退職金の額が退職所得控除額より多い場合は、退職所得控除の金額までは一時金で受け取り、残りは年金で受け取る「一時金&年金」の方法を利用すれば、退職所得控除も公的年金等控除も活用しながら税金を減らせます。

年金の部分は、なるべく長期間かけて少しずつ受け取るようにすると、毎年の年金にかかる税金や社会保険料も少なくできます。

では、退職金の手取り額を増やす方法について見ていきましょう。

定年前後の手取りを最大化するために押さえておきたい手続きは次の①〜②です。

①退職日を1日遅らせると、40万円または70万円の手取り増

退職所得控除の勤続年数は、1年未満の端数がある場合は、切り上げになります。つまり、1年未満の日が1日でもあれば「1年」とカウントされます。

たとえば、勤続年数がちょうど「35年」で退職するよりも、退職日を1日延長して35年と1日で退職すれば「36年」になります。したがって、退職日が1日違うだけで退職所得控除額を70万円増やせるのです。

勤続年数が20年未満の場合も同様で、1日で退職所得控除額に40万円の差がつきます。もしも、退職金の金額が退職所得控除額を超えそうなのであれば、退職日をずらして勤続年数を増やせないか、勤務先に相談してみましょう。

積み上げて置かれたコインと右肩上がりの矢印
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