戦争が長引けば原油不足になる

伝統的な経済学者の間からは、石油価格を抑えるために多額の補助金を出し続けるのは「愚策」だという声が出ていた。もともと円安によって国内物価が上昇しているところに、補助金を出して政府の財政を悪化させれば、さらに円安が進んで、輸入価格が上昇しかねない。イタチごっこになるだけだ、という意見だった。

今回の場合、単に市場で価格が上昇しているだけでなく、ホルムズ海峡を通過できず石油自体が流れてこない深刻な「原油不足」が懸念されている。モノが足りなくなる懸念がある時に備蓄を放出して不足を補うのは意味があるが、価格を引き下げることを目的にするのは問題が多い。

価格が上昇すれば、消費者が節約するなど省エネに動くが、価格を引き下げてしまうと消費行動は従来と変わらない。戦争が長引けば原油不足になるリスクが顕在化しつつある中で、今重要なのは消費量をできるだけ減らす「省エネ」機運を盛り上げることだ。そのためには価格の上昇はある程度、放置し、市場に任せるべきなのだ。消費量が減って売れないとなれば石油元売り会社は価格を引き下げざるを得なくなる。それが市場原理というものだ。