落選したときが結婚のチャンス

山本が当時を振り返って語る。

「それまで10年間、国会議員として走り続けていた彼女は落ちたショックもあったのか、以前に比べると、だいぶ柔らかくなっている印象を受けました。元から謙虚な人柄だったのでしょうけれど、わたしが昔持っていたイメージに比べると、ガラっとイメージが変わりました」

山本と高市が実際に会ったのは年が明けた平成14年の5月下旬。

この時は経済人と国会議員が集まって、意見交換をおこなう席でのことだった。席上、高市は、ある企業の役員から言われた。

「落選している今のうちに、結婚相手を見つけてあげないといけませんね」

高市も、後援会長や、親から同様の話をされて、結婚相手を探すようにせっつかれていた。

候補者が独身で女性だと、選挙のたびに対立陣営から、あらぬ噂を流されることが多かったからだ。

(○○の愛人だ)

などといった怪文書をばら撒かれることも一度や二度ではなかった。

高市は言った。

「ちょうど結婚を前向きに検討したくなっていたところですので、御社の社員さんで良い方がおられたら、お世話してくださいね」

山本から結婚の申し出をした

それから数日後、6月初旬になり、山本は、高市のもとに電話をかけた。

「真剣に結婚相手を探しておられるなら、僕もバツイチですので、立候補しますよ。3人の子持ちですが、いかがですか? わたしは調理師免許も持っているので、一生、美味しいものを食べさせますよ」

どうやら山本は、高市と財界人とのやりとりに聞き耳を立てていたようだった。

山本は国政復帰を果たす数年前に前妻と離婚していた。

前妻は世間から政治家の妻として見られることに苦しんでいたようだった。

山本はその前妻との間に1男2女の3人の子供がいた。

高市は、山本からの突然の話にビックリして、しどろもどろになりながらも対応した。

「しばらく……、考える時間をいただけませんか?」

(秘書や事務機器を引き取ってもらっただけでなく、次は自分を引き取ってもらえるのか……)

そんなことを思いながら、高市は自分が山本の提案をどこかで嬉しく思っていることに気づいた。

誰かからプロポーズされることなど久しくなかったのだ。

【図表1】高市早苗首相の年表
編集部作成