「筋肉が柔らかい」と骨格が丈夫になる
「骨格をキープする」と聞くと、「筋肉がかたいほうがキープできるのでは?」と疑問に思う人がいるかもしれません。それは間違いです。筋肉がかたいということは、もともと100の振幅量(収縮の度合い)があるとしたら、かためることに70の振幅量を使ってしまっているようなものです。
そのため動かそうとするときに、30の振幅量しか残っていません。つまり、運動機能の低い「動かない筋肉」になってしまいます。「骨格をキープする」というのは、上半身の筋肉の力でキープすることではなく、「骨同士の引っかかりでキープする」ということなのです。
骨が引っかかるだけでいいので、かたい筋肉は邪魔です。ただし、やわらかい筋肉は、支えになるものがないとつぶれてしまいます。だからこそ、「胸骨」という指針が必要になるのです。胸骨の矢印が、骨盤や背骨をしかるべき位置に引っ張ってくれて「骨の引っかかり」は保たれています。
上半身の筋肉は、それを邪魔しないようにくっついているだけのイメージです。日常動作では、上半身の筋肉は脱力した状態が理想だといえます。その代わりに頑張ってもらうのが、「下半身の筋肉」です。
下半身の筋肉は、使って、使って、使い倒してください。人体で最強の筋肉ですから、ちょっとやそっとのことでは壊れません。使えば使うほど、強くなります。それが結果として、上半身の筋肉を脱力させて、「骨格をキープ」することにつながるのです。
美しい姿勢を生む“正しい猫背”
人は本来、胸骨を意識したとき、骨盤も連動して回転します。ですが、骨盤まわりの筋肉がガチガチにかたまっていると、骨盤がスムーズに回転できなくなってしまいます。それを改善するために、胸骨と骨盤の連動性をスムーズにする練習をしましょう。
まずは、正座をしてください(イラストを見てください)。そのまま猫背になりましょう。
胸をつぶすと、骨盤が後傾し、背中が丸まります。首で猫背をつくらないようにしましょう。これが「正しい猫背」です。これと反対のことをすれば「よい姿勢」になります。
胸を意識し、骨盤を前回転させると、自動的に背骨がスッと立ちます。このとき、腸骨に両手を添えてみてください。腸骨とは、いわゆる骨盤の「腰骨(こしぼね)」のことです。腸骨に添えた両手で、骨盤の後ろ回転を誘導すると、自然な猫背になれます。反対に、前回転を誘導してあげると、自然と胸の矢印がナナメ上を向き、美しい姿勢になります。
次に、胸骨との連動を確認しましょう。猫背の状態で、片手の指先で胸骨をトントントンと叩たたきます。叩いてから、トンと指を胸骨に置きます。もう片方の手は腸骨に添えて、骨盤の前回転を誘導します。
骨盤が前回転したとき、胸骨の矢印は、約70度(90度と45度の間くらい)の角度を向いているイメージです。自分の意識では、胸骨が真上に上がっている感覚があると思います。

