『7つの習慣 最優先事項』
キングベアー出版

さて、第4の習慣は「Win-Winを考える」。これについては多くの説明は不要だろう。人間関係においては「自分の得になれば……」というWin-Loseになりがちであるが、長期的に効果性を発揮するための人間関係を築くにはWin-Winを意識しなければならない。

第5の習慣は「理解してから理解される」。実際のコミュニケーションでは「理解させてから理解する」が横行し、とくに意見の相違や対立があるときはそうなりがちだ。しかしコミュニケーションを効果的にするのは、まず相手の話を「聴く」ことである。

「聴く」と「聞く」の違いは、英語の“listening”と“hearing”の違いをイメージするとよい。前者は能動的に五感や心をフルに使って相手を完全に理解しようとする行為で、後者は受動的で、相手が言った言葉の上辺だけ聞いているイメージである。

自分のパラダイムはいったん脇に置き、相手のパラダイムがどんなものかという言葉以前の問題にまでさかのぼり理解するのである。

第6の習慣は「相乗効果を発揮する」で、これは日本人の弱点である。個人で考えるよりみんなでアイデアを出し合ったほうがその総和は大きくなるはずだが、日本人は違った意見を出すと「出る杭は打たれる」状態に陥りがちだ。だが人はそれぞれ異なるという事実を受け入れ、理解して、その違いを強みに活かすことを考えなければいけない。

たとえば同じチームであなたがA案、私がB案という異なる案を出したとしよう。こういうときは両者を折衷した妥協案に落ち着きがちだがそうはせず、両案をカバーしてさらに上を行く第3案を生み出すのだ。

第7の習慣「刃を研ぐ」は前述したように、第1~第6の習慣を継続的に向上させ、目標達成能力を伸ばしていくための習慣である。では、どうやって刃を研ぐか。コヴィー博士は肉体、知性、精神、社会/情緒という再新再生の4つの側面で自分の刃を研いでいくことを提示している。

(構成=宮内 健 撮影=永井 浩)
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