繰り返される「不祥事」の系譜

そんな疑いを招くほどに、同社の「不祥事」は、これまでにも度々起きてきたからである。たとえば、1996年には、東京支店の元幹部が会社の小切手11億円を横領したとして警視庁に逮捕されている(同年10月7日「朝日新聞」夕刊より)。2009年にも神戸支社長が、貯蓄型保険の保険料を担保にした融資を顧客が申し込んだように装って、貸付金約679万円を会社から騙し取った詐欺の疑いで逮捕されている(同年9月21日「朝日新聞」夕刊より)。

また、今回の「金銭不祥事等」についても、発端は1年半前にさかのぼる。2024年8月から進めてきた「不審な金銭取り扱い等に関する確認」である。確認せざるを得なかったのは、「不適切な金銭取り扱いを複数確認」したからである。これを「組織風土の課題」と片付けるのは、あまりに安易ではないか。

「プルデンシャル生命」の名前が日本に入ってきたのは、1981年である。現在はソニー生命と2つに分かれた前身の「ソニー・プルデンシャル生命」が同年4月、営業開始時に注目を集めたのは、同社が「保険外務員に男性進出」(「朝日新聞」1982年6月8日朝刊)という点だった。

プルデンシャルタワー(東京都千代田区永田町)
撮影=プレジデントオンライン編集部
プルデンシャルタワー(東京・永田町)

「保険のおばちゃん」への挑戦

いまの呼称では「生保レディ」、当時は「保険のおばちゃん」と呼ばれていた保険外務員は、その名の通り、「長い間、女の“聖域”だった」(朝日新聞)。そこに、ソニー・プルデンシャル生命は「ライフプランナー」として、生活設計や資産管理の相談に乗るとして、「男性のみ、しかも大学卒業の実力を持ち、すでに他の分野での営業の経験がある人しか採用しない」(当時の同社副社長・坂口陽史氏)とした。

経済学者の金井郁と政治学者の申琪榮が近著『「生保レディ」の現代史』(名古屋大学出版会)で辿ったように、高卒や中卒の中高年女性の独壇場だった外務員現場に、「大学卒業の実力」を持つ男性が後から参入した(後発型)ところに、プルデンシャル生命の源流がある。

職場に毎日のように来て、飴や文房具を配ってくれる、いわば、擬似的なお母さん=「保険のおばちゃん」ではなく、トータルな人生設計を助言・指導してくれる「ライフプランナー」だから契約するのだ、と、顧客のプライドをくすぐったところに、同社の根っこがある。

まさに、ここに「組織風土の課題」があり、今回の「金銭不祥事等を招いた原因」があるのではないか。そして、そこには、日本における生命保険の位置づけがかかわってくる。