日本が「世界一理想的な保守主義国家」は幻想
何はともあれ、イギリスなど欧州でも高市勝利のニュースは大変な驚きをもって伝えられた。
欧州のメディアや世論は基本的に、日本のことを“男性が支配する保守的な社会”であると考えている。ゆえに保守系の男性は日本を“世界で最も理想的な保守主義国家”として称えることが多い。
古き良き男性優位の思想が残っているイメージを抱いているのだ。私のような“強烈な日本人女性”と結婚した私の夫は、それが幻想であることを的確に認識している。しかし、あくまで少数派にすぎない。
左派系のBBCやロイターは高市勝利を報じる際、「日本初の女性首相誕生へ」という部分をかなり強調していた。ニュースでも、女性キャスターや特派員が歴史的事件であるかのように興奮気味に紹介した。
日本については後ろ向きの報道が多い欧州の左派系メディアが日本を好意的に報じるのは非常に珍しい。
高市氏が保守系政治家だったイギリスのサッチャー元首相に影響を受けたという点も注目されている。高市氏の愛読書は『サッチャー回顧録』だという。イギリス人は、社会保障が充実している日本を社会主義的な傾向が強いと考えている。
そんな日本において、市場主義者であるサッチャー元首相から影響を受けた女性政治家がいること自体が驚きを与えたのだ。
日本の左翼メディアや中国や韓国と違い、高市氏のことを「極右」とレッテル貼りする報道は見かけない。高市氏は欧米基準でいうところの「伝統的な保守」であり、決して過激ではないからである。欧米では日本の閣僚が靖國神社に参拝することはさほど問題視されない。
海外なら戦没者墓地で祈りを捧げることは、死者への敬意を示すことにすぎず、保守政治家でも左翼政治家でも当たり前のことだからだ。
「過激な保守主義」「極右」という報道とは距離を保つ
興味深いことに、欧州の左派系メディアや中道メディアは高市勝利を大きく取り上げたが、保守系メディアは意外に扱いが小さかった。保守派や極右からすれば、自分たちの理想郷であったはずの日本ですら女が強くなってしまったことに失望したのかもしれない。
裏を返せば、高市氏は過激な極右などではなく、伝統的な保守主義者であるという証明でもある。安倍晋三元首相のように経済と安定を重視したバランス型の政治家で、欧米基準では決してポピュリストではないのである。日本国内においても高市氏への評価は過激な保守主義や極右とは距離を保つべきだ。
他方、マーケットは高市氏の性別や保守思想よりも経済手腕に注目している。安倍路線の継承は明らかだが、財政出動、円安、党内分裂などの要因で政策が実行できるかどうかが懸念されている。
マーケットは高市自民党の先行きは不透明だと様子見をしている。ただし、日本の政治や経済を取り巻く状況は北米や欧州よりははるかに安定している。不安感は短期間で払拭されるだろうとの見方も強い。
トランプ政権やウクライナや中東の情勢などで世界は前途多難だが、高市氏にはメタル魂を発揮して日本を強く、豊かにしていただきたい。
