地震対応と航空機からの脱出は「ミラクル」
そして1月2日にロンドンに戻るため羽田空港に到着した途端、JALと海上保安機の事故! 我が家はチェックインの列に並んでいたところだったので、飛行機が飛ぶのかどうか全く不明で不安だった。
当日空港の旅客の大半を占めていた外国人旅行者も不安な顔の人だらけであったので、周囲に声をかけて事故の状況を説明したり、万が一飛行機が飛ばない場合に予約が空いていそうで滞在可能なホテルの場所や行き先を英語で説明した。
しかし自分も慌てていて口が滑って飛行機が爆発と言ってしまったので第3次世界大戦が始まったのかと思った人もいたであろう。
また飛行機が飛ばなくなる可能性があったので、羽田空港近くの平和島の競艇場、健康ランドを推しておいた。京急で通学していた自分にはお馴染みのエリアである。
平和島は元東京捕虜収容所であったこと、平和島と名付けられた意味も説明したが、突然登場した中年の日本人が「ヘルスランド」なる謎の施設について熱心に説明し、東京裁判や戦争捕虜について早口で語り、競艇を推奨してくることに周囲の外国人は大変困惑した顔であったが、この親切な日本人に遭遇したことは彼らにとって忘れ得ぬ旅の思い出となったことだろう。
平和島で競艇に赴く外国人観光客がいたらその数名は筆者による地域経済への貢献である。
さて今回の地震と事故で特筆するべきことがある。まず欧州においては地震対応と航空機からの脱出が「ミラクル」、つまり「奇跡」と呼ばれていた。
BBCをはじめイギリスでも日本の地震と事故に関する報道が大量に行われていたが、新年であるのにも関わらず政府が即座に対策本部を立ち上げ、人々も落ち着いて避難し誰も避難物資を略奪したりすることがなかった。
危機に発揮される強さ
そして航空機からの脱出においても観客はおとなしく客室乗務員やキャプテンの指示に従い迅速に移動した。
仮にこれが他の国で起きていたのであれば、まず災害時には略奪が横行し治安が悪化する。地域社会が崩壊しているところが多いのでご近所の助け合いもない。
またほとんどの国では災害対策は日本よりもかなり手薄なためこんなに早く対応はできない。航空機事故でもおそらくこの速さで脱出することは無理であろう。
私はテレビの地震速報に釘付けの息子に伝えた。
「日本はこれが毎年のように起こるから常に災害に備えているんだよ。避難訓練も頻繁にやるから誰もが列に並べるの。話をよく聞く人が多いの。皆で協力し合うの。ものを分け合うの。イギリス人や新興国の人達のように、自己中でルールを守らない人ばかりでは生きていけない土地なの。災害が日本人の性格を作ったんだよ」
日本の隣国や新興国出身の我儘な同級生達や地元民に悩んでいる息子は静かに頷いた。
日本は多様性がなく村社会だと批判されてきたが、こういう災害の時には阿吽の呼吸で意思疎通が可能で皆が同じ言葉を話し、同じように行動することが人命を救う。
何事も長所と短所があるが、この不安定な世界において、日本の均質性や村社会的なところ、人々の距離が近く集団行動するところはむしろ有利なのである。日本人の特性は長所として見直すべきなのではないだろうか。

