国家による教育は、国家が指向する政策を実現するために要望される人材のイメージに従って、その骨子と内容が決まっていく。戦後の日本では、産業・経済の復興のために、工学部門に徹底して力を入れていたのだが、それは当時の国家の要請でもあった。
本書は、「今日の世界において、民主的市民精神のための教育はどうなっているのでしょうか? 非常に貧しいものであると私は憂慮しています」という危機意識のもとに、著者自らマニフェストであると宣言している書である。
どんな領域にしろ、マニフェストという形で書かれた文章は、眠気を催しがちになる。正論であればあるほど、読むのに根気と忍耐がいる。本書にもその弊害があって、私など何度も眠気に勝てず放り出したが、数回目の試みでようやく著者の危機意識と学識の深さに触れるところまで読み進み、読み終える頃には、いささかの興奮すら覚えていた。
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