ドイツの座席は硬くフランスは柔らかい理由

広島電鉄の5100系では運転士用の座席にドイツ製のものを採用したが、疲労軽減のために体重調節機能を持ったダンパー付きとしている。

このダンパーは運転士の体重に合わせて目盛を調節し、それにあった機能を発揮するというものであるのだが、なんと目盛が60kgから始まり、最高は130kgまで刻んである。平均は90kgから100kgとしているのである。

日本人ではそこまで重い人はごく少数であり、通常は一番軽い目盛で十分という。実はドイツのクッションは硬いというのは、重い人を対象としているからであろう。フランス人は日本人と体格が近く、その体重にあわせているので柔らかく感じる。

ただし、座姿勢や体重分散については、よく検討がなされているのは事実で、いったん決めたラインはまず絶対に崩さない。それぞれの事業者向けにカスタマイズするときも、モジュール構成にして組み合わせで作り上げるが座面や背面には手をつけることはない。

第2次大戦後にリクライニングシートが登場

話がそれたが、鉄道車両の座席においてはさまざまな体格や体重の人を考慮する必要があり、デザインの幅もなるべく広げなければならない。よい座席を提供することは永遠の課題であるといえよう。

鉄道車両の座席は、古くは木製であり、現在でもヨーロッパの路面電車に見られる。座布団はともかく、背刷りまでクッションの入ったものとなったのは、1933(昭和8)年度のスハ32形からであったという。

国鉄スハ32系客車(スハフ32形)の座席
写真=Wikimedia Commons
国鉄スハ32系客車(スハフ32形)の座席(写真=Yoshizumi Endo/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

この時代は向かい合い固定の座席がほとんどで、優等車でも向かい合い寸法を広げた固定座席であるか、転換タイプ、またはロングシートのように横向きに座るものであった。

第2次世界大戦後、特別2等車としてアメリカンスタイルのリクライニングシートが登場した。

こうしてその後年月が経ち、座席は進化して新幹線でも最初は転換タイプであったのが、2人がけは回転式になり、3人がけは集団離反型といわれる固定座席になり、そしてついに100系からはすべて回転するものとなっていった。