乳がんリスクを低減させる「大豆の力」

がんリスクを抑える食事
③大豆

大豆は日本の伝統的な食文化の中で重要な位置を占めており、豆腐、納豆、味噌、醤油といった形で日常的に摂取されてきた。近年の疫学研究では、大豆に含まれるイソフラボンが、がんのリスクを下げる可能性をもつことが明らかになってきている。

大豆
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イソフラボンは植物由来の「フィトエストロゲン」と呼ばれる物質の一種で、体内で女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を示す。そのため、ホルモンの影響を受けやすい乳がんや前立腺がんなどに対して、予防的に働くのではないかと考えられている。

アジアの大規模疫学研究などでは、大豆食品の摂取量が多い女性ほど乳がんの発症率が低いという傾向が報告されている。とくに閉経後の女性でこの関連が強く、ホルモンバランスの変化にともなうがんリスクの上昇を緩やかに抑えることが期待されている。

さらに、イソフラボンは抗酸化作用や抗炎症作用をもち、細胞内の酸化ストレスを減らすポテンシャルがあるほか、アポトーシス(細胞の自然死)を促進して異常細胞の増殖を抑える働きも報告されている。腸内細菌がイソフラボンを代謝してつくる「エクオール」という物質も、これらの作用を強化するとされており、近年注目を集めている。

サプリよりも納豆を食べたほうがいい

ただし、サプリメントなどでイソフラボンを大量に摂取しようとするのは一般的に勧められない。適量の大豆食品を日常の食事に取り入れることが、最も安全で効果的な摂取法である。

一日に豆腐や納豆を1~2回、味噌汁を1杯とるといった伝統的な日本の食習慣は、まさに理想的なバランスといえるだろう。総じて、大豆食品の摂取は、乳がん・前立腺がんなどホルモン関連がんの予防に寄与するほか、生活習慣病全体のリスク低減にもつながると考えられる。

がんリスクを抑える食事
④食物繊維

つまり、食卓に野菜や果物を多く取り入れ、魚や大豆を加えること、また調理の温度や手間を少し工夫するだけで、がんのリスクは確実に下げられるのだ。

さらに近年注目されているのが、腸内細菌の働きである。私たちの腸には数百兆個の細菌が棲みついているが、その構成は食事内容によって大きく変化する。