親に書いてもらうなら「いつ書いたか」が重要

親に遺言書を書いてもらう際は、「いつ書いてもらうか」も大きなポイントです。痴呆や病気など先に何があるかわからず、また高齢になるほど死や健康被害が現実的なものとなり、子供の側から「書いてくれ」とは言い出しにくくなります。加えて、健康状態が良好でも、当人の年齢が上がるにつれ、他の相続人から「作成時には痴呆状態だった」などと異論を唱えられるリスクも高まるため、1日でも早く、健常なうちに書いてもらうべきでしょう。「縁起でもない!」と激高される向きもありますが、不思議なことに、1度作ってしまうと「気が楽になった」と、安堵する人がほとんどです。

ちなみに、遺言書の作成時に病気を患っていたり、医師の診察を受けている場合には、その時点での診断書やカルテのコピーを取得しておくと後の面倒を回避できます。

弁護士 
星 千絵

田辺総合法律事務所所属。案件に応じた親身な対応と明快な法律解説に定評あり。著書に『生活と環境をめぐる法律相談Q&A』など。
(構成=新郷由起 撮影=的野弘路)
【関連記事】
「遠距離介護と骨肉の遺産相続」解決法
男一人。子なし。面倒を見てくれた人への相続・遺言
「遺言、エンディングノート」のススメ
介護の苦労が報われない遺言書を親が準備していたら
財産が少ないほどモメる -全解決!遺言・遺産相続の困り事【1】