ヒットしてもなお試行錯誤の連続
「当社の開発メンバーは、ほとんど工学部出身ですが、自分たちで饅頭やパンを作ったりします。機械の設計と言っても、机に座って図面を引いたりするのは半分ぐらいで、もう半分は基礎研究の繰り返し。どんな機械が良いのか、指で押して力を加えたら生地はどうなるのか――。かなり面倒ではありますが、相手が食品なので対応が難しいのです。
営業マンに関しては、技術サービス部やメンテナンスの出身者も多い。お客様のところに機械を販売する際も工場を見せてもらい、効率化や生産性向上などの改善やアドバイスなど、いわゆる提案型の営業を行っています。
機械を購入いただいた後は、現場サポートやアフターサービスを行う技術サービス部の出番です。購入した機械で、お客様がどういった食品を展開したいのか、あるいはそれは可能なのか――。相互に相談や提案を重ねながら、より良い機械が作れないか、こんな製品を作れないか――。日々研究を続けています」
顧客との話し合いの中で、パンの缶詰などの災害備蓄食品や、地元の高校生とコラボしたお菓子なども実現した。また、レオン自動機は年に10回ほど、「講習会」と題した製品提案会を開いている。和洋菓子メーカーや、調理業者など顧客を呼んで、新しい包あん機の提案を行う催しを実施している。
包あん機の初号機が販売されてから60年以上、現在にいたるまでの試行錯誤は、技術力のみに留まらず、部署の垣根を越えた現場至上主義も大きい。
海外の顧客に対しても、国内で生産した機械を輸出するだけでなく、各国の食文化ニーズにグローカリゼーションするため、海外子会社では現地採用の割合も高い。営業、技術サービス部、メンテナンスサービス部のワンチームのうち、約半数は日本から出向して、もう半数は現地採用を行っているという。
売り上げを支える約3200以上の特許
今後も、海外展開には積極的な姿勢を見せる。2025年度上半期の食品製造機械売上比率を見ると、日本が44%、ヨーロッパ・アフリカが20%、北米・南米が23%、日本以外のアジアが13%となる。
その中で、伸び代が高いのが、アメリカやインドなどの人口大国だという。他にもエジプトやイスラエルなどの中東、アフリカなどの新興国も開拓が進められている。
「人口減少が進む日本や韓国で機械化は必須であり、一方でこれから人口爆発するアフリカなどでは、人手をかけずに大量生産することが求められる。いずれにしてもレオンのような機械は必要になるので、大きな市場と考えている。販路が世界130の国と地域に分散することで、それだけリスク軽減にもつながる」(小林氏)
一方で、課題として特許や競合の問題がある。現在、レオン自動機は400件以上の特許を保有し累計の取得件数は国内・海外合わせて3200件を超える。裏を返せば、それだけ世界各国に競合他社が存在するという証左でもある。
「中国の展示会を訪れると、当社の周りに50社ほどのメーカーが、レオンの包あん機と同じようなものを展示している。そのほとんどは特許が切れたものですが、世界各国で矢継ぎ早に模倣品が出てきている」

