競合から技術を守るすべとは

レオン自動機のような社員700人前後の規模であれば、機械の大量生産や価格競争になると分が悪い。つまり後発の模倣品に飲み込まれないためには、常に技術開発を行って特許申請を行い、競合の追随を抑える必要がある。

そのため、レオン自動機には「特許室」という専門部署があり、開発の現場テストに立ち会いながら、特許化できる技術を見極める仕組みがある。

また意外と知られていないことだが、他社の既存技術であっても、新たに追加したものを搭載することで、上書きするように特許を取得することもできる。技術のアップデートを続け、新しい技術が生まれたら即特許を申請することは、企業の防衛線としての役割も大きい。

社内の体制としても、生産量には限界があるため、より現場や市場の要望に声を傾けているのもうなずける。価格競争に走るのではなく、顧客目線での使いやすさや対応できる商材の幅など、技術力に注力して独自のポジションを固めていく。

将来的には「工場を無人化」

今後は「食品工場のスマートファクトリー化を進めていく」と小林氏。単に機械の開発のみならず、AIやIoTなどのデジタル技術、およびそこから得られるデータを用いて、作業の自動化や高生産性を実現した工場稼働を目指していく。

人手不足や人件費高騰、あるいは地政学リスクの高まりなど、生産現場が抱える課題は大きくなりつつある。そうした顧客が危惧する根本的な問題解消にも向き合っていく。

小林社長
撮影=プレジデントオンライン編集部
小林社長

「そのためには、まず包あん機の操作性、掃除がしやすいなどの簡便さ、故障や事故のなさを突き詰めていく必要がある。そこから自動化や遠隔操作など、ネットワークを利用した一元管理化を進めていき、最終的には工場全体の生産を無人化していきたいと考えています」

普段、何気なく口にしている食品の黒子役として、60年以上食卓を支えてきたレオン自動機。その歩みは、メーカーとしての技術的な進化に留まらず、顧客の声に耳を傾けてきた姿が見て取れる。

ゆえに世界130の国と地域での展開にもつながり、スマートファクトリーの構想も絵空事ではないはずだ。レオン自動機の躍進は、ニッチな技術でも世界市場で勝ち続けられることを示唆しており、今後より世界の食文化を豊かにする立役者となるかもしれない。

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