トランプ政策が続けば「ドル離れ」は進む

1月30日、ニューヨーク金先物は、前日の終値に比べ一時12%下落した。金価格の急騰に対する調整に加え、トランプ氏がケビン・ウォーシュ元FRB理事を次期議長に指名した。ウォーシュ氏はかつて、量的緩和(QE)に反対したといわれている。

ケビン・ウォーシュ元FRB理事
ケビン・ウォーシュ元FRB理事(写真=Federal Reserve/PD US Federal Reserve/Wikimedia Commons

そのため、トランプ氏が求める利下げの回数が減るとの見方も出た。その結果、米金利はそれほど低下しないとの見方からドルが買い戻され反発し、その裏返しで金の価格は大きく下落した。

今後の金価格の展開を考える際のポイントは、トランプ大統領の政策指針がどう変化するかだ。現在、トランプ氏の支持率は停滞気味だ。1月下旬、世論調査で大統領支持率は38%に低下した。ミネソタ州での強硬な移民取り締まりへの反発が増えた。

支持を増やすために、トランプ氏は再度、米国の製造業の復興を早期に実現すると主張するだろう。韓国への関税引き上げは、その前ぶれに見えた。キューバへの圧力も強め、西半球の支配体制を強固にする可能性も高い。中国に対する制裁や関税政策を拡充する恐れもある。

当面、トランプ氏が、法の秩序を重視した政策に回帰するとは考えづらい。移民政策を微調整する分、対外政策は強硬化するだろう。米国の政策リスクの上昇に伴い、ドルの信認はさらに低下すると懸念される。

長い目で見ると金の価格は「上昇」サイン

これからも、中国や新興国の金購入は増えるだろう。中国最大の金鉱会社である紫金鉱業集団は、アフリカや南米で事業を拡大した。1月下旬にはカナダの金鉱山会社アライドゴールドコーポレーションも買収した。今後のドルの信認低下、それによる金価格の一段上昇を見越した戦略だろう。

現在、トランプ氏に政策の修正を指摘、諫言できる経済、通商、安全保障のブレーンはいないようだ。これは、1期目の政権との主たる違いである。その状況下、主要な先進国の中央銀行のドル離れも鮮明化する可能性は高い。

グリーンランド危機が起きた際、デンマークの年金基金アカデミカーペンションは、月末までに保有する米国債を売却すると表明した。純粋なリスク分散に米ドル建て資産を手放そうとする投資家は増えそうだ。トランプ政策への対抗や報復措置として、米国債などの売却を示唆する国が出現する恐れもある。ドルは趨勢として減価する可能性は高い。

また、過去の大規模な紛争勃発時に比べると、金価格の上昇率はまだ低いとの指摘もある。変動を伴いつつ、ドルの信認低下の裏返しとして、金の価格は上昇傾向で推移する可能性は高いとみる。

【関連記事】
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」
「日本の新幹線」を売らずに済んでよかった…「走るほど大赤字」インドネシア新幹線を勝ち取った習近平の大誤算【2025年9月BEST】
「本当のお金持ち」はポルシェやフェラーリには乗っていない…FPが実際に目にした「富裕層のクルマ」の真実
パンと白米よりやっかい…糖尿病専門医が絶対に飲まない"一見ヘルシーに見えて怖い飲み物"の名前
だから日本人の「百貨店離れ」が進んでいる…三越伊勢丹HD元社長がルイ・ヴィトンを絶対に入れなかった理由