執務室に外部デバイスは持ち込めない

1.基本的な物理的対策

立ち入り制限:出入りする人物を厳格に管理し、清掃・整備も信頼性確認済みの人員に限定。
持ち込み制限:スマホ・電子機器・USBなどの外部デバイスを執務室に持ち込ませない。
定期点検:家具・配線・壁・天井などに異常がないか目視・点検。

2.電子機器・通信管理

機器検査:盗聴器・隠しマイクを発見するためのハンディスキャナや専用検査機器による点検。
通信遮断:携帯電話やWi-Fiの電波を遮断するジャマーやシールド。
専用回線の利用:暗号化された固定回線や専用ネットワークを使用。

3.構造・設備による対策

電磁シールド(ファラデーケージ):執務室全体を電磁的に遮蔽し、外部への電波漏洩を防ぐ。
防音施工:壁・床・天井を防音構造にして、音が外に漏れないようにする。
振動・共鳴対策:窓や壁越しに音をレーザーマイクで拾われないように二重窓・特殊フィルム・音波妨害装置を導入。

首相執務室なのにスマホが使えた

4.専門的・高度な対策

TSCM(Technical Surveillance Counter Measures)専門部隊の常駐:専門の技術者が定期的・随時に盗聴検査を行う。
暗号化通信機器の常備:安全な電話・ビデオ会議用の専用端末を設置。
アクティブ・ノイズ・ジェネレーター:会話中に不可聴のホワイトノイズや超音波を発して盗聴を無効化。
定期的な模様替え・改装:盗聴器の仕込みを困難にするために、執務室の配置や装備を周期的に変更。

5.運用面での工夫

重要会議は“サウンドルーム”:完全防音・シールドされた専用室を別に用意して、特に機密性の高い話はそこで行う。
ダミー会話・欺瞞情報:あえて無価値な会話を流して、盗聴側を混乱させる。
複数重層のセキュリティ:物理・技術・人の面で多重防御を組み合わせる。

残念なことに、首相執務室でも防衛大臣執務室でも、スマホ・電子機器・USBなどの外部デバイスに対する持ち込み制限は課されていない。そして持ち込んだスマホには受信圏内を示すアンテナマークがくっきり表示されている。

要するに、外部への電波漏洩を防ぐために執務室全体を電磁的に遮蔽する電磁シールド(ファラデーケージ)が施されていないということだ。

携帯電話画面
写真=iStock.com/alxpin
※写真はイメージです