成果をあげる「最初は見せない」デモ

彼らの手法から、ざっとこんな特徴があげられる。

・最初は製品が直接目に触れさせず、「なんだろう」という好奇心をかきたてる。
・最初に製品説明をしている間は、デモ製品は見せず、触らせない。
 (興味をちらすことは自分の話と競合相手を作るようなもの)
・デモは全員にはっきりと見せる。見えないだろう人は、動くように促す。
・実体験してもらう。簡単にできる部分だけにして、必ずコツを教える。
・説明が終わったらすっぱり片づけることで、必要な情報だけをスッキリ記憶に残す。
・その後「製品を購入してほしい」など“具体的な言葉で”して欲しいことをと伝える。

「どんな経験でも同じように固定化されるのではなく、特定の条件の経験がより固定化される」(*1)

実体験をしてもらうことが一番ながら、そのときに刺激になるような話しかけ方をしたり、音をたてたり、笑いを起こすことで、より記憶に残りやすくなるだろう。たとえば、そのときに間違えで報知器が鳴ってしまった……などという“事件的な出来事”に匹敵するような刺激を与えるほどに、情動をかき立てられ、記憶を促せるようになるはずだ。

「実体験は、ただ見せるだけのデモ10回にも匹敵するような効果がある」(*2)とデール・カーネギーも言っている。実際に触れることで触覚からも刺激を受け、あなたの話を聞いた人の記憶を、ますます促してくれるのである。

[参考資料]
*1 『記憶と情動の脳科学 「忘れにくい記憶」の作られ方』(ジェームズ・L・マッガウ 2006 講談社)
*2 Dale Carnegie, [1991]The Quick and Easy Way to Effective Speaking, Reissue,.
『心を動かす話し方』(デール・カーネギー著、山本悠紀子監修、田中融二訳 2006年 ダイヤモンド社)

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